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ミツバチに未来はあるか?…ミツバチに害となる農薬の代用品もやはり有害との研究結果

一部の農薬は、植物の受粉に大きな役割を果たすミツバチが失踪する蜂群崩壊症候群の原因ともされる。EUではミツバチに害があるとされる農薬を禁止する動きが広まるが、禁止農薬の替わりに開発され使用されている農薬もまた、ミツバチに有害がある可能性が判明した。

 

ネオニコチノイドを置き換える

世界で最も一般的に使用されているとされるネオニコチノイド系殺虫剤。しかし害虫はこれに耐性をつけ、またミツバチの数を大幅に低下させるとされ使用規制や禁止が行われてきた。2013年から欧州委員会はネオニコチノイド系殺虫剤の使用規制を提案しており、今年4月にはEU加盟国による投票でネオニコチノイドの屋外での使用禁止に合意がなされた。

そんなこんなでネオニコチノイドに代わる殺虫剤として開発されたのがスルホキサフロル(sulfoxaflor)だ。環境省によればスルホキサフロルはニコチン性アセチルコリン受容体を阻害して殺虫効果を示すとされるもの。スルホキサフロルはすでにEUを含めた世界市場で使用認可が出ているところや認可検討中となっているところもあるといった状況で、将来実質的にネオニコチノイドを置き換えると考えられている。

 

スルホキサフロルも有害?

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しかしTelegraphの報道によれば、ロンドン大学ロイヤルホロウェイによるスルホキサフロルの研究で、これもまた実はミツバチにネガティブな影響を与えるという結果が出た。8月15日にNatureで発表されたこの研究では、ミツバチ科のマルハナバチに対するスルホキサフロル系殺虫剤の慢性的な暴露の影響が調べられた。するとコロニーの数と、生まれる子供の数がともに半分ほどになってしまったのだ。

この結果はあくまでも今回の研究での「特定の状況下で」のことであり、実際の自然環境の中でどれだけのミツバチがこれに暴露されどこまで影響を受けるのかは別の話であるとされるが、それでも研究者達はスルホキサフロルは野生のマルハナバチの数に悪影響を与える可能性があることを示す研究結果であるとしている。

 

ミツバチに未来はあるか?

ミツバチに害を与えることが問題となり禁止された殺虫剤の代用品が、やはりミツバチに害を与えるのでは意味がない。ターゲットとなる害虫のみに影響を与える殺虫剤が早く登場することが望まれるが、その一方でこのような農業問題をロボットの力で解決しようというアイデアも出ている。

米ウォルマートはドッキングステーションから飛び発ち、有害生物を識別して植物に被害のある部位にだけ殺虫剤を撒くロボットの特許出願を今年行っている。だがもしもミツバチの数が植物、食物を受粉するのに十分な数居なくなってしまったら…そのときにもまたロボットが助けになるかもしれない。ウォルマートは同様にドッキングステーションから飛び発ち花粉をセンサーで認識し受粉を行うロボットの特許も出願しているのだ。

とは言えそのようなロボットが実用化されるまでにはまだまだ時間がかかる事だろう。果たしてミツバチに無害な殺虫剤がでる日まで、もしくはこのような農業用ロボットが実用化されるまで、ミツバチたちは生きながらえてくれるだろうか?

 

Yu Ando

*Discovery認定コントリビューター

フィンランド在住のライター。執筆分野は、エンタメ、ガジェット、サイエンスから、社会福祉やアートに文化、更にはオカルト系まで幅広い。ライター業の傍らアート活動も行っているほか、フィンランドや日本で両国の文化を紹介する講演を行うことも。
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