度肝を抜くモンスター金魚が世界中で大あばれ!金魚を絶対に放流してはいけない理由とは

日本の夏の風物詩、金魚すくい。

ついノスタルジーに駆られて掬ってしまったりするものの、その後ホームセンターで水槽とにらめっこをしながら大いに悩むことになる。飼育費が馬鹿にならないうえに、週一回の水替え作業はかなり面倒くさい。これが、仮に子どもが遊び半分に掬ったはいいが、責任を押しつけてきた金魚だった場合、もはや愛着のかけらも湧かないだろう。

近くによさそうな小川が流れているじゃないか…と、ついつい金魚たちを自然に還そうとする気持ちもわからなくはない。実際、筆者が住む町の小川には、毎年祭りの季節に限って赤い魚が多く目撃されている。

けれども、金魚たちはそもそも自然の産物ではないので、還る場所はどこにもない。果たして野山に放たれた金魚たちは、想像もつかないぐらいの悪影響をまき散らすことになるので、絶対に自然に放してはダメだ。

 

湖や川に潜むモンスターたち

 

Credit: Heather Segale via Seeker

 

カリフォルニア州のタホー湖では、2013年に金魚が巨大化して大繁殖した例がある。Seekerによれば、体長50センチ以上、体重は2キロ近くもあるモンスター級の金魚たちが何百と群がって生息しているのが発見された。地元のペットショップで売られていた金魚と同種だったことから、おそらく住民が飼いきれなくなって捨てたと推測された。

Credit: Murdoch University via Seeker

 

一方、オーストラリアのバッセ川でも20年以上前から「フットボール並みの大きさの金魚」の存在が確認されていた。マードック大学の最近の調査によれば、彼らはなんと年間100キロ以上も移動して棲み処を拡大していることがわかったという。

金魚はもともと驚異的な生命力を持ち、水さえあればどんな場所でも大抵生き残れる。ましてや栄養素に富んだバッセ川では、世界で他に例をみないような恐ろしいスピードで成長し、繁殖しているそうだ。

ペットとして飼われていた金魚が放流され、野生の環境で巨大化した例は、ほかにもアメリカのアリゾナ州、アーカンソー州やミシガン州、そしてイギリスやフランスでも報告されている。

もともと日本の在来種であるフナを改良して作られた金魚は、海外ではまったく天敵を持たない外来種となり、生態系に打撃を与えてしまう。

 

驚異的な破壊力

野生化した金魚に罪はないものの、その影響は深刻だ。

金魚は在来種の魚よりも早く成長し、非常に食欲旺盛なため、エサを喰いつくしてしまう。口に入りさえすればなんでも食べてしまうので、場合によっては在来種をも捕食してしまう。

食べる分だけ排泄物の量もものすごく、水質を汚す。自然にはもともとなかった病原菌を広めてしまうケースもあるほか、駆除するのに多額の税金がかかってしまうデメリットも…。絶対に放してはいけないことが充分お分かりいただけたと思う。

 

金魚トリビア(おまけ)

ところで、夏祭りの金魚すくいにはときどき錦鯉の稚魚が混ざっていることがあるそうだ。

「色や模様が劣る」という人間の勝手な理由だけで廃棄処分される運命にあった鯉が、売り上げを伸ばすために金魚のなかに紛れ込まされるのだが、鯉と金魚の稚魚は案外見分けがつかないので間違えて掬ってしまう人も多いらしい。

こちらが金魚。 Credit: LoggaWiggler / Pixabay

 

家に連れて帰って、ほかの金魚たちと比べて異常に成長のスピードが早かったら、まずは鯉と疑おう。虫めがねなどでじっくり口元を観察して、ちょびヒゲを生やしていたら、もはや疑いの余地はない。鯉だ。

こちらが鯉。 Credit: zoosnow / Pixabay

 

池を湛えた立派な庭園をお持ちでないかぎりは、体長60センチ以上に成長する鯉は飼えない。早めに引き取り先を探そう。もちろん、金魚同様、自然に放流するのは絶対にNGだ。

 

山田ちとら

*Discovery認定コントリビューター

日英バイリンガルライター。主に自然科学系の記事を執筆するかたわら、幅広いテーマの取材とインタビューにも挑戦している。大学時代に断崖絶壁に咲く青いケシの花に憧れてネパールへ留学するも、ケシを見つけられないどころかトレッキング中トラブルばかりに見舞われて結局植物学から文化人類学へ転向。人間と自然の相互作用が研究テーマ。https://chitrayamada.com/