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蚊は血を食料にしているわけではない?人類にとっての最凶生物、その意外な生態

8月20日は「世界蚊の日」である。1897年のこの日、イギリスの医学者ロナルド・ロスがマラリアをメスの蚊が媒介していたことを発見した。恐竜の時代から存在し、地球上で人類を死亡させるナンバー1の生物である蚊。その生態を探ってみよう。

 

蚊は血を食料にしているわけではない

蚊と聞くと、気づかない間に血を吸って痒くするというイメージが強いだろう。これは、人間が蚊の唾液にアレルギー反応を起こすためで、多くの人が鬱陶しく思っているのではないだろうか。この吸血行為は人間の血を食料にしていると思われがちだが、実はそうではない。

蚊は性別関係なく特徴的な長い口を持っているため、どの蚊も血を吸うように思うかもしれない。だが、吸血を行うのはメスのみで、卵巣を発達させるタンパク質を確保するために行う行為である。蚊が本来食料としているのは、花の蜜や草の液などで、蝶など他の昆虫と同じなのだ。

蚊は、人間をはじめとした哺乳類だけでなく、爬虫類や鳥類などからも血を吸うことがある。一度に吸う血の量は自分の体重と同じくらいとされている。よく血を吸った後の蚊の動きが鈍くなっているのは、吸血後に自身の体重がおよそ2倍になっているためである。

 

人類にとって最凶の生物

蚊が媒介する伝染病による死者は年間75万人とも言われており、地球上で人類を死に至らしめる生き物としてはダントツで1位だ。(2位は人間とされる)その疫病の中で最も多く死者を出しているのがマラリアである。

マラリアは、原生生物である複数種のマラリア原虫が引き起こす感染症である。猿人類や鳥類、爬虫類などを宿主としている。この原虫が体内の赤血球を破壊するために発熱発作が起こり、やがて死に至るのだ。

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このマラリア原虫を媒介しているのが蚊であることを発見したのが、最初に述べたイギリスの医学者ロナルド・ロスである。ロスは、インドで医師官を勤めていた時期にマラリアの研究を行なっていた。1895年8月20日、ハマダラカの腸の中にマラリア原虫の存在を確認し、蚊がマラリアを媒介することを発見した。ロスはこの発見により、1902年にノーベル生理学・医学賞を受賞することになる。

 

意外な蚊の役割

動物から血を吸い、人を死に至らしめる疫病を媒介する恐ろしい蚊だが、実は生態系の中では多くの生き物の捕食対象であり、様々な役割も担っている。

蚊は静かな水面に150から400の卵を産み、そこから孵る幼虫がボウフラである。ボウフラは水の中で生まれながらも泳ぐ能力は低く、水の流れがある場所では簡単に流されてしまう弱い存在だ。また、ヤゴなどの水生昆虫や魚といったボウフラを食料とする天敵も数多く存在する。逆に言えば、ボウフラは水生昆虫や魚にタンパク質を提供する重要な存在なのだ。成虫になっても、肉食昆虫や鳥類、爬虫類などの食料となっている。

人間社会においては、時にうっとおしく、時に脅威となる蚊。恐竜の時代から地球に存在するこのやっかいな隣人と人類は、まだまだ長い付き合いをしていくことになるのだろう。

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