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160年前は祝電を送って届くまで16時間!海底ケーブルの長い歴史と海を越えたメッセージ

今では当たり前に使っているスマートフォンやパソコンの通信機能。例え海外にいる友達だとしてもリアルタイムでメッセージのやりとりができるようになった。

では、19世紀ではどうだっただろう。

1858年8月16日、ヴィクトリア英国女王がイギリスからブキャナン米大統領宛にモールス信号で祝電を送った。そのメッセージが全てアメリカに届くまでに要した時間はなんと16時間。大西洋横断ケーブルがイギリスとアメリカを繋いだ時のことである。

 

160年以上前からあった海底ケーブル

1840年代、モールス符号を使った電信による通信手段が普及していった。初期の頃は一般人が気軽に使えるものではなかったが、後の費用低下に伴い、広い層に浸透していくこととなる。

当時のモールス符号を送信できる機器はいわゆる電線が必要であったため、海を越えた通信ができなかった。そこで、海底ケーブルによって繋ぐ方法が考案され、1851年にイギリスとフランスを繋ぐ海底ケーブルが初めて敷設された。それから欧州を繋ぐ海底ケーブル事業が活発に行われ、イギリスとアメリカを繋ぐという大規模な大西洋横断ケーブル事業が開始したのである。

大西洋横断ケーブルは1858年に稼働するものの、ケーブルのトラブルで2ヶ月半で使用できなくなった。先のヴィクトリア英国女王の祝電はこの時のものだ。

そして何度かの敷設工事の失敗を乗り越え、一般の通信事業を開始したのは1866年からである。余談だが、ジュール・ヴェルヌが1870年に発表したSF小説『海底二万里』にも大西洋横断ケーブルが登場するシーンがある。

1866年、カナダ・ハーツコンテントで大西洋横断ケーブルが陸に引き上げられた様子を描いた絵 Credit: パブリックドメイン

現在の海底ケーブルと通信

現在の海底ケーブルは方式や素材が変わっているが、有線で国と国を繋いでいることに変わりはない。

海を渡る情報のやりとりには衛星通信技術も用いられているが、通信衛星は3万6000Km離れており、そこまで情報を送ってまた地上へと送り返する仕様のため、情報が届く速度は海底ケーブルよりも大幅に遅くなる。また、送信できる情報量も衛星通信の方が少ないこともあり、近年のほとんどの通信は海底ケーブルを介して行われている。現在では、230本以上の海底ケーブルが国と国を繋いでいるのだそうだ。

メッセージは国と国だけではなく、人と人をも繋ぐ。今は当たり前のように世界中にEメールやチャットでメッセージが送れるが、たまにはどうやってこのメッセージが相手まで送られているのか考えを巡らせてみるのもいいかもしれない。

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