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41年前、世界を騒がせた地球外知的生命体からのメッセージ…「Wow! シグナル」の経緯とその顛末

1977年8月15日、米オハイオ州の電波望遠鏡ビッグイヤーが、いて座方面から届いたある電波信号を72秒に渡り観測した。驚いた観測者は信号をプリントアウトし、赤く囲んだ該当部分に「Wow!」と書き加えた。この電波信号は、地球外知的生命体からのメッセージである可能性があったからだ。そしてこれは「Wow! シグナル(Wow! signal)」と呼ばれるようになった。

果たしてこの信号は地球外知的生命体が送ったものだったのだろうか。

 

地球外知的生命体探査の全盛期

「Wow! シグナル」を観測したのは、オハイオ州立大学のジェリー・R・エーマンだった。電波信号を捉えた電波望遠鏡ビッグイヤーは、1963年から1998年まで米オハイオ・ウェスリアン大学のパーキンス天文台に設置されていたものだ。この天文台は、SETI(地球外知的生命体探査)を行なっており、エーマンもプロジェクトのメンバーであった。この電波信号観測の数日後に、地球外知的生命体に向けたレコード「ゴールデンレコード」を搭載したボイジャー探査機が打ち上げられていることを考えると、当時の世論が地球外生命体探査を支持していたことは想像に難くない。

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そういった風潮の中で、恒星間無線通信向けと言われる周波数に限りなく近い電波信号を、エーマンは観測したのである。この周波数は、1960年に始まった世界最初期のSETIの取り組み『オズマ計画』の際に、天文学者のフランク・D・ドレイクらが恒星間通信において一種の宇宙基準になると提唱したものだった。

 

宇宙からのメッセージだったのか

観測当時、「Wow! シグナル」は地球外知的生命体のものではないかとされ、世間を大いに賑わせた。しかし、この電波信号は1度しか検出されず、その起源は不明とされた。

しかし、2016年にセントピーターバーグカレッジの天文学者、アントニオ・パリスが「Wow! シグナル」の正体を明らかにする論文を発表した。電波信号を発していたのは地球外知的生命体ではなく、彗星がその正体だというものだった。

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1977年7月27日から8月15日まで、木星族彗星の「266P/Christensen」と「P/2008 Y2 (Gibbs)」は、Wow! シグナル発生源の近くを移動していた。彗星の化学物質は電波を放射するため、ビッグイヤーが水素線に似た電波信号を出していた「266P/Christensen」と「P/2008 Y2 (Gibbs)」を捉えた可能性が高い。また、1度だけしか検知できなかったというのも、移動している彗星が原因だとすると説明がつく。これらの彗星は2006年と2008年に発見されたため、1977年当時は彗星の可能性を疑うことがなかったのだ。

パリスは、200回に及ぶ「266P/Christensen」の観測を行い、「Wow! シグナル」と同等の電波信号を検出することに成功している。他の3つの彗星を対象に行った観測でも、結果として同等の電波信号が検出された。

「Wow! シグナル」への議論はまだ続いているが、パリスの論文によって彗星が起因していたという科学的根拠が示されたのは事実だ。それでも、多くの人が地球外知的生命体の存在を信じ、ファーストコンタクトを夢見ながら観測を続けていくのだろう。

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