絵描きロボットはセザンヌの夢を見るか?国際ロボットアートコンテスト「RoboArt」

グーグルのDeepDreamやマイクロソフトのAttnGANなど、所謂AIがアーティスティックな画像を生み出すこともできる現代。ロボットのアートコンテストがあると言っても誰も驚きはしないだろう。そう、ロボット達は筆を執り絵を描き、その腕前や技術を競うのだ。

 

ロボットアートコンテスト

2016年から始まった「RoboArt」こと国際ロボットアートコンテスト(International Robotic Art Competition)。これは「視覚的に美しいものをロボットがつくる」ことを目標に、参加チームのロボットが実際に筆を用いて絵を描くアートコンテストだ。

4回目となる2019年は総額5万ドル(約550万)の賞金を巡り、その腕が競われることとなる。カテゴリーは「オリジナルアート作品」と「リインタープリテッド(再解釈)アート作品」の2部門あり、それぞれに6作品までコンテストに応募可能となっている。リインタープリテッド部門は画像や、既存のアート作品を参考に用いたもの。優勝チームは一般からの投票と、アーティスト、評論家、テクノロジストの3人からなる選考員、そして前述のコンテスト目標にどれだけ叶っているかなどで決定されることとなる。

 

ロボットアートは「まだ初期段階」

プリンターによる画像データの再現とはまた違う、筆と絵の具を用いて物理的に描かれた、しかし機械的なロボットにより描かれた絵。そんな応募作品の数々が描き出すのは、画一的な物を大量生産するための機械によるも作品とも違う雰囲気だが、人間による芸術的創作ともまたどこかしら違う。ある意味ではその2点の間のグラデーションの中に存在するかもしれない。だが今現在のロボットアートを見てみれば、それはより工業機械に近い点にあるだろう。

Red Bullではこのコンテストの創設者のアンドリュー・コンルー(Andrew Conru)がインタビューに答えている。それによれば、現在はまだまだロボットより人の絵の方が筆さばきに細やかさを持っており、筆運びや塗り重ねなどの技法はより正確かつ微妙なニュアンスを持っているという。コンルーはロボットによるアートはまだ初期段階であると語るものの、それでもここ数年で優勝作品はより洗練されたものとなってきたとも語っている。

あくまでも人間に従属する道具でしかないロボットに、真の創作ができるのか?「ロボットやAIの生み出すアート」という話題を深く語るには到底紙面が足りないが、この点を考えることも面白いと同時に、コンテスト応募作品の技術的な質が向上すると共に必然的に問われなければならない事柄だろう。

 

アートなロボコン?

Credit: CloudPainter via RoboArt

ちなみに昨年の優勝チームは「CloudPainter」。リインタープリテッド部門ではポール・セザンヌの「Houses at L’Estaque」(トップ画像。CloudPainterが描いたバージョンはRobotArtウェブサイトで見ることが出来る)を描き、オリジナル部門ではディープラーニングやAIアルゴリズム、フィードバックループなどを駆使した「AIがイマジンしたポートレート」作品(上画像)となっている。このCloudPainterはソースコードと一部の部品の3Dモデルがネット上で公開されているので自分でもアートロボットを作ってみたいという方は参考にできるかもしれない。

なおこのコンテストは、ロボットモーションプランニング(ロボット動作計画)や画像処理を学ぶ学生やプロフェッショナルに適したコンテストだとされているほか、賞金の一部がアメリカの学校に寄付されるなど、教育に貢献するという意図もあるようだ。またこれはあくまでも国際コンテストであるため、アメリカ国外からの参加申し込みも受け付けている。

日本で「ロボットコンテスト」と言うとよりテレビなどで放送される体育会系的なコンテストが頭に浮かぶ方が多いかと思われるが、このようなアートが焦点となったロボットコンテストが日本で行われるのも是非見てみたいものだ。

 

Yu Ando

*Discovery認定コントリビューター

フィンランド在住のライター。執筆分野は、エンタメ、ガジェット、サイエンスから、社会福祉やアートに文化、更にはオカルト系まで幅広い。ライター業の傍らアート活動も行っているほか、フィンランドや日本で両国の文化を紹介する講演を行うことも。
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