Credit : Discovery Communications

【インタビュー】「デンバー動物クリニック」の外科侍・ジェフ来日!番組への想いを語る

ー日本を訪れるのははじめてですか?

いえ、実は子供の頃日本に来たことがあります。ちょうど10歳くらいの時だったかな。その時に見た電車や鯉を今でも覚えています。

 

ー今回の旅はいかがですか?

とても素晴らしいです。色々なところを回っていて、日本の様々な景色を見ることができました。食べ物もとてもおいしいですし、楽しいですね。

 

ー今回の来日の具体的な目的はなんでしょうか?

動物の不妊去勢手術やノーキル運動について講演を行っいます。僕が知る限り、道徳的に成功しているノーキル運動というもののはなく、反対にローキルの方が結果が出ていることも話したりしています。

 

ー以前にノーキル運動は動物にとって大変危険だということをお話されていましたが、これは日本のみの問題と捉えていますか?それとも、世界的な問題だと思いますか?

地域に関係ないですね。ノーキルの結果のひとつとして、動物愛護ではなく動物を集めることが好きな人々の行動を助長し言い訳を与えたと言えると思います。日本の行政関連の動物の施設や不妊去勢手術の啓蒙活動は非常に積極的で結果も出ていると思います。多くの動物を安全かつ環境の良い場所に移しているようですが、その反面、動物をコレクションの一部としか考えていないようなところも多くあると聞き驚きました。アメリカでももちろんそのようなところはありますが、発見次第すぐに動物を移し、その施設なりを閉じるのですが、日本ではそのような法律がないと聞きました。動物保護を真剣に考えているのであれば、やはりそのような動物コレクション的な施設はなくす方向にもっていかないといけないと思います。

Credit: Discovery Communications

ー日本にあるシェルターはアメリカにあるものと比べ、とても先進的だと仰っていましたが、具体的にはどのようなことでそう思われましたか?

すごく興味深いと思ったのは、アメリカでは先進的なシェルターの多くは個人経営やNGOとかです。それが、日本では逆に行政主導のものが先進的なんです。これはものすごくいいことだと思います。シェルターそのものも最高峰であるイギリスの基準を基にしているし、避妊去勢制度もきちんとしていて、教育などの情報発信もしています。また、野良猫などにも対応しています。そして、これらを経験や知識が豊富な人々が行っている事実は誇るべきことだと思います。

日本でみつけたおもしろい例のひとつが猫カフェです。とある個人経営の猫カフェで、そこには20匹くらいいたのですが、避妊去勢手術済みで、必要な検査は全て受けているし、要望があれば引き取りもしていました。カフェ自体も広くておもちゃもたくさんありすごくいい環境でしたが、さらに経営者のおばちゃん自らが年間300匹くらいの猫を保護し、避妊去勢手術を行っていると聞いて驚きました。これによって将来的には自分の猫カフェというビジネスがなくなるかもしれない可能性があるにも関わらず、率先して問題解決に取り組んでいるのはすごく先進的な考え方だと思いました。また、その猫カフェの壁にはそのような問題提起や解決に向けての情報発信をするポスターが貼られていたりして非常に尊敬しました。団体等から寄付金が入っている様子もなかったし、一個人としてすごいことをしているなと感心しました。

 

ー2018年8月より「デンバー動物クリニック」が日本ではシーズン4に突入しますが、どのようなお気持ちですか?

今一緒に行動している撮影班もいいし、チームワークもいいし、僕自身この番組の撮影を楽しんでいます。何よりも、この番組を通して避妊去勢手術や動物愛護についての正しいメッセージを発信することができています。これはとても大事なことです。

 

ーシーズン4の見どころはどこですか?

いや、分からないですね。笑 僕の撮影は全て事実のみなんです。手術も全て本物。

 

ー最も記憶に残るエピソードはどんなエピソードですか?

骨折した犬を飼っているホームレスの人かな。PTSDを発症している人や元兵士、ガンを患っている子供などと接するのも好きですね。彼らに少しでも笑顔を提供できれば、少しでも楽しくなってもらえればと思って接しています。ましてや、それを行うために必要なのがほんのちょっとのやる気なら絶対に助けるべきだと思っています。だから、そのような回が印象的ですね。

 

ー治療に集中しなければならない理由から撮影班に撮影をとめてもらったことはありますか?

頻繁にあります。なんせ、ものすごく小さなミスでも大きな問題を引き起こしてしまうことがありますからね。

 

ーあなたにとって、仕事の中での一番のやりがいはなんですか?

私は人と接するのが好きなんです。獣医師はどれだけ頭が良くても飼い主に理解してもらえるように話さないといけないと私は思っています。だから私はラッキーですね。ペットも大事だけど、困難な治療を実現するためには最終的に人間対人間になるんです。

 

ー人が動物とよりよいコミュニケーションを取る方法などはありますか?

現在アメリカでは、子犬として飼われたうちの62%が一年以内にシェルターに入ってしまいます。この原因は明瞭で自分が飼う動物の特徴を理解していないからです。買う前に自分のペットのことを知ることは非常に重要です。どのような犬がいいのか。おとなしい犬がいいのか、よく動く犬がいいのか。長年獣医をしているけれど、ペットの犬種の相談なんてされたことないですね。結局、多くの人は小さい子供がいるのに子供嫌いでよく噛むチワワを飼ったりして、問題が起きてから私のところへ相談にきます。かわいいから動物を飼うのではなく、自分のライフスタイルに合った動物を選ぶようにしないといけませんね。家でおとなしくできる犬もいれば、何かしらしていないとダメな犬もいます。それで靴を噛んだり、家の中をぐちゃぐちゃにしたりしてしまうんです。

 

ジェフの奥様でもあり、同番組に出演しているペトラにもインタビュー

Credit: Discovery Communications

ー視聴者の中には獣医学に興味を持っている方も多くいるかと思います、そのような方々にどのようなメッセージを送りますか?

ペトラ: 人によって、我々の仕事は一日中子猫と遊ぶことだと誤解していることも多くあるかと思います。実際には死と直面する仕事ですし、色々な痛みも伴う仕事です。自分にとって一番辛かったのは動物のためとはいえ、動物に痛みをあたえる行為をしなければならないということでした。助けたいのに、動物が恐怖の目で自分のことを見てくるときは心が折れそうになりました。でも、実際にそういった場面は多くあります。また、飼い主にとってペットは家族で、その家族が病気だったりするとその分ストレスも増え、私たちに当たり散らす人もいます。それを自分の中で落とし込むのは難しいですし、獣医という職業は人間関係が必要だということを理解して、ハッピーエンドがある方が少ないということをわかって欲しいと思います。

ジェフ: 完全に同意します。アメリカの獣医学部で言われているのは、動物が好きならペットショップや動物園で働け、ということです。いいアドバイスではないかもしれませんが、結局獣医学は字のごとく医学なんです。だからといって偉ぶったり感情をなしにした方がいいと言っているのではありませんが、全ての事例に100%の気持ちで対応してしまうともたなくなります。客観視することが必要です。

 

ーなぜ、この番組は人気だと思いますか?

ペトラ: 番組の良さの一つに物語性があげられます。一つのエピソードのストーリーを通して、登場人物や動物を家族の一員として迎え入れ、最終的にハッピーエンドで見送る、というところに感動的な物語が見られます。この仕事はいいことばかりではないし、厳しい仕事だけれど、このような部分があるからこそ世界で一番の仕事だと私は思っています。そして、この信念がこの番組に表れていると思います。

ジェフ: あとは、僕たちが実在している獣医だということも大きな要因だと思います。もうそのままの自分をさらけ出しています。嘘などは一切ありません。僕たちは自分達が世界一の執刀医とは言っていませんが、どんなに難しい手術でも動物にとって最適な方法だと思えばチャレンジしています。それだけです。そして、素晴らしい撮影班にも恵まれているし、心底動物が好きという気持ちを全員持っています。

 

ー今回の日本の滞在中に何回も声をかけられたと聞きました。ファンに向けてのメッセージなどありますか?

ジェフ: テレビに出ている以上、声をかけられたらそれに対応することが責任だと思っています。わざわざ望んで有名人になった訳ではないですが、なったからにはそれにきちんと対応します。何よりもこのようなファンの方がいなければ僕はテレビに出ることもありませんでしたし、これが結局自分の非営利団体の活動を大幅に広げてくれました。感謝していますし、彼らには出来るだけの恩返しをしたいと思っています。だからこそ、可能な限り話もするし、写真も撮るし、自ら感謝の言葉を告げています。

ペトラ: 私たちは可能な限り一緒に写真も撮るし、話もします。なので、どこかで見かけたら声をかけてください。そして、日本にも私達と同じ活動をしている方は多くいます。ただ、テレビで取り上げられていないだけです。もし、世の中を変えたい、少しでも手伝いたという気持ちがあればまずは自分の周りから行動を始めてみてください。実際に私達も始まりは地元からでした。ものすごく感謝されると思いますよ。

放送日時:8月毎週火曜 19:00~
『デンバー動物クリニック シーズン4』はアニマルプラネットにてご視聴頂けます。アニマルプラネットを未視聴の方は、こちらからご確認ください。

RELATED POST