猛暑のフィンランドで落ちる雛たち…人の助けなしに生きられないツバメたちに未来はあるか

今年異例の猛暑を記録したフィンランドでは、ツバメの雛が保護されるケースが多くなっている。果たしてツバメたちは気候に適応できるのだろうか?

猛暑のフィンランドで…

森、湖、雪、オーロラ。涼しげなイメージのある北欧フィンランドだが、今年の夏は記録史上希に見る猛暑であった。とは言っても今年の最高気温は32度程度で、40度を超す日本と比較はできない。それでも、6月に首都ヘルシンキでは雨が30日間降らないという史上初を記録、7月にはフィンランド全体では25度を超える「猛暑日」が1838年の観測開始史上2番目に長く27日間続いた。通常7月の平均気温は20度以下のフィンランドでは、日本と違い家庭用エアコンもメジャーではない。慣れない暑さに人も苦しんだが、それは動物も同じようだ。

YLEの報道によれば、今年は普段以上に多く鳥の雛が巣から落ちている。
首都ヘルシンキでは7月末にコルケアサーリ動物園附属野生動物病院には50羽以上のヨーロッパアマツバメの雛が保護されている。餌は2時間おきにやる必要があるため保護する側の人間も大変で、同野生動物病院ではその保育のために追加のスタッフが必要であった。またフィンランド南部のミッケリ市でも保護するヨーロッパアマツバメの雛の数が昨年の倍以上となっている他、イワツバメの雛も保護されている。

巣の中70度…

Credit: Klaus Roggel, CC BY-SA 3.0

今年増えたツバメの雛の保護、その原因はやはり暑さのようだ。ヨーロッパアマツバメもイワツバメも共に家の屋根に巣を作るのだが、今年は猛暑であることもあり巣の中が摂氏70度にも上ったという。雛たちはこの暑さに耐えかねて巣から出るという決断をしたのだ。

巣から出たことで蒸し鶏(蒸し燕?)になることは免れたものの、だからといって雛たちがそのまま生き延びることができるわけではない。通常ヨーロッパアマツバメは卵から孵り42日で巣立ちすると言うが、これらの雛たちはまだ飛べることができない状況だ。しかもヨーロッパアマツバメの脚は壁などの垂直な場所に留まる時に用いられはするものの、地面を歩くようにはできていないのだ。保護されたツバメたちは幸運だが、野生動物病院もその対応の準備ができていないほど多くの雛が落ちるという状況は、この先温暖化に歯止めが効かなければ平均気温も海抜も上昇する「ホットハウス・アース」に向かうと言われる中で心配でもある。

ツバメたちは適応できるか

Credit: pau.artigas, CC BY-SA 2.0

猛暑に伴う巣の中の温度上昇。これに上手く適応する事の出来ない生物たちは、人間の助けなしに生き残ることはできるのだろうか?

先日は大型ハリケーンによる暴風で飛ばされにくい身体特徴を持ったトカゲが生き残ったことが確認されており、これが「自然選択」が引き起こされた例である可能性をお伝えした。

もしかしたらこのような猛暑の中でも、本来であれば地面に降り立ち歩き回ることに適さない脚を持ったヨーロッパアマツバメ(の雛)なかでも、より地上活動に適した特徴を持つものや、暑さに強いという身体的な特性を持つものが生き残るかもしれない。はたまた、通気性が高く内部が熱くなりすぎない巣を作る(それが巣作り時に手抜きをした結果であったとしても)、といった身体面以外での特徴により生き残るものや、巣から落ちた場合により人間に気づかれやすく、人の注目を浴びやすい声や見た目のものといった、人家に巣作りを行うという今も見られる人との共存形態を更に一歩進めた形での生き残りもあり得るかもしれない。

だが、人も上手く予測し対応することの難しい気象異常が増える中、果たして生物たちは気候に対応できるだろうか?

 

Yu Ando

*Discovery認定コントリビューター

フィンランド在住のライター。執筆分野は、エンタメ、ガジェット、サイエンスから、社会福祉やアートに文化、更にはオカルト系まで幅広い。ライター業の傍らアート活動も行っているほか、フィンランドや日本で両国の文化を紹介する講演を行うことも。
thxpalm.com