灼熱の「ホットハウス・アース」へまっしぐら?今年の猛暑と温暖化の因果関係、専門家の答えは「YES」

異次元猛暑とも呼ばれている今夏の異常な暑さ。日本では埼玉県熊谷市で史上最高の摂氏41.1度が観測されたほか、アメリカのデス・バレーで52度、アフリカ北部のアルジェリアでは51.3度と、北半球の各地で記録的な表面温度が確認され続けている。

「地球温暖化」という言葉がにわかに現実味を帯びてきた。今年の夏のような猛暑は、果たして温暖化のせいなのだろうか?

 

気温上昇のメカニズム

今年の熱波を引き起こした直接的な原因は弱体化した偏西風だった。さらに今年は北の方向に大幅に蛇行し、ここ数カ月間その状態のままで固定されている。そのせいで気候も固定され、通常の風雨の変化を伴わないためヨーロッパ各地では雨不足が続いている。

日本の上空には太平洋高気圧とチベット高気圧がいつもより北に張り出し、ダブル高気圧としてすっぽり覆っているせいで異常に暑い気候が続いた。さらに毎日新聞によれば、高気圧で雲が発生しにくく、安定した気圧配置が続いて夜も気温が下がらなかったことも暑い夏に拍車をかけた。

なぜ偏西風が弱体化し、蛇行しているのか、原因解明にはまだ時間がかかりそうだが、地球温暖化が地球全体の異常気象を連鎖的に引き起こしていることは疑いの余地がないようだ。

 

温暖化とは

18世紀に始まった産業革命以来、人間は石油、石炭や天然ガスを大量に燃やしてきた。化石燃料排出物が急増し、結果として大気中の二酸化炭素などの温室効果ガス濃度が増加したため、20世紀初頭から地球の平均気温は上昇の一途をたどっている。NASAによると、1880年に比べて世界の平均表面温度はすでに0.8度上昇している。

メルボルン大学の気象学者たちがThe Conversationに寄稿したところによれば、温暖化と酷暑の因果関係は明らかだそうだ。地球の平均気温が上昇するにつれて今年の夏のような熱波がより頻繁に起こりやすくなる。ただし、温暖化が直接熱波を引き起こしているというよりは、確率的にその頻度が高くなるようだ。

例えば、2015年に採択されたパリ協定の「地球の平均気温の上昇を2度までに抑える」というシナリオ。仮にこの目標を達成できたとしても、今年のような熱波が毎年続く可能性が非常に高くなってくるという。

Credit: RemazteredStudio / Pixabay

 

地球の「ホットハウス」化

それどころか、平均気温の上昇を2度にまで抑えられたとしても、地球が現状を維持できる境界値を超えてしまうかもしれないと予測している科学者たちもいる。

ストックホルム大学、コペンハーゲン大学などの多国籍研究者チームが8月6日に米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表したばかりの報告書によれば、このまま二酸化炭素が空気中に排出され続ければ、いずれ自然のフィードバックシステムが機能しなくなり地球は不可逆的に加熱していくと予測されるそうだ。

歯止めの効かない温暖化の行く末は「ホットハウス・アース」。産業革命前と比べて平均気温が摂氏4度から5度高くなり、海抜が10~60メートルも上がる。日照り、干ばつ、台風などの異常気象が相次ぎ、もはや灼熱の赤道直下の土地は無人化し、人類はひたすら南極か北極を目指すはめになる――。

一度二酸化炭素の放出量が境界値を超えてしまったら、ものの数十年後にはこのような地球に変貌しているかもしれないと科学者たちは口をそろえて警告している。世界が団結してアクションをおこさなければ、手遅れになってしまうかもしれない。

 

山田ちとら

*Discovery認定コントリビューター

日英バイリンガルライター。主に自然科学系の記事を執筆するかたわら、幅広いテーマの取材とインタビューにも挑戦している。大学時代に断崖絶壁に咲く青いケシの花に憧れてネパールへ留学するも、ケシを見つけられないどころかトレッキング中トラブルばかりに見舞われて結局植物学から文化人類学へ転向。人間と自然の相互作用が研究テーマ。https://chitrayamada.com/