【宇宙旅行が実現する日】第3回:スペースプレーンによるヴァージン・ギャラクティックの宇宙旅行

アマゾン社のジェフ・ベゾス氏が率いるブルー・オリジン社と同じく、近日中の宇宙旅行の実現が期待されているのが、英ヴァージン・グループの傘下企業となるヴァージン・ギャラクティック社だ。
 
同社は悲劇的なアクシデントを乗り越え、すでに宇宙旅行のチケットの販売を開始している。
 
スペースシャトルのような翼の備わった「スペースシップツー(SpaceShipTwo)」による同社の宇宙旅行とは、どのようなものなのだろうか。
 

上空で切り離され、滑走路に帰還するスペースプレーン

Image Credit by ヴァージン・ギャラクティック

ブルー・オリジンが計画しているロケットを利用した宇宙旅行とは異なり、ヴァージン・ギャラクティックは有翼のスペースプレーン「スペースシップツー」の利用を計画している。
 
スペースシップツーは2人のパイロットと6人の乗客を乗せて高度110kmに到達し、ほぼ重力のない微重力体験を楽しんだり、窓から黒い宇宙と青い地球を眺めることができる。乗客の体験は、ブルー・オリジンの計画とそれほど変わらない。
 
また打ち上げ方法も特殊だ。上画像ではスペースシップツーがさらに大型な母艦「ホワイトナイトツー(WhiteNightTwo)」に吊り下げられており、このホワイトナイトツーが高度約14kmでスペースシップツーを切り離し、その後にエンジンによる飛行が開始されるのだ。
 
このようなシステムの採用は離陸のための燃料を必要とせず、また打ち上げが地上の天候に影響されにくいなどのメリットがある。
 

スペースシップ開発を襲った悲劇

Image Credit by KNBC

ヴァージン・ギャラクティックの宇宙旅行計画を語る上で、どうしても避けることができないのが2014年10月に発生した事故だ。
 
パイロットの操縦ミスと事故防止システムの不備が原因とされるこの事故では、機長のピーター・シーボルト(Peter Siebold)氏が重症を負い、副操縦士のミカエル・アルズベリー氏(Michael Alsbury)が死亡している。
 
この事故により、ヴァージン・ギャラクティックの打ち上げ実験は2016年12月まで停滞することになる。
 

事故を乗り越え、遠くない時期の宇宙旅行の実現へ

Image Credit by MarsScientific.com & Trumbull Studios

しかし、ヴァージン・ギャラクティックは新造スペースプレーン「VSSユニティ(VSS Unity)」にさらなる安全対策を施すことで、打ち上げ実験を再開。2018年7月の最新打ち上げテストでは、エンジン点火を行うことで速度マッハ2.47、高度52kmにまで達している。
 
さらに、同社を率いるリチャード・ブランソン氏は年内にも自ら宇宙旅行のテスト飛行を行い、商業運行も今年中に開始すると発表しているのだ。
 
また、ヴァージン・ギャラクティックは宇宙旅行のチケットを25万ドル(約2800万円)で前売りしている。これは過去に行われた国際宇宙ステーション(ISS)への個人旅行に比べれば、圧倒的に廉価。また20万〜30万ドルになると予測されているライバルのブルー・オリジンの宇宙旅行と、ほぼ同価格となっている。
 
宇宙旅行の実現に向け、ライバル関係となったヴァージン・ギャラクティックとブルー・オリジン。どちらが初の独自民間宇宙旅行を成し遂げるのか、現在注目が集まっている。
 

塚本直樹

*Discovery認定コントリビューター

IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki