脳の寄生虫が起業を促すかも…ビジネスとトキソプラズマの奇妙な関係性

アメリカの学生を対象にした研究で、トキソプラズマが寄生している人は、ビジネスを学ぶ確立が高いことが判明した。中でも特に起業する人が多いようだが、果たしてトキソプラズマが影響を与えているのだろうか?

 

トキソプラズマ

国立感染症研究所によれば、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)はほぼ全ての哺乳類と鳥類に感染能を持つ寄生性原生生物で、ネコの糞便や加熱不十分な食肉から人間へ感染する。世界的に見れば全人類の3分の1以上、約数十億人が感染しているとされる。ZME Scienceによればアメリカに限っても6000万人がトキソプラズマをもっているとしている。

このように多くの人間に感染しているトキソプラズマだが、通常は免疫系の働きにより大きな問題にはならない。ただし免疫不全のものには重篤な症状を引き起こすほか、妊娠初期での感染でも胎児にとって大きな危険となる。

だがそのような大きな問題にならない場合にも、感染者の人生にはトキソプラズマが影響を与えているかもしれない。

 

人にも影響?

Credit: Ke Hu and John M. Murray, CC BY 4.0

トキソプラズマに感染したネズミは、行動が変化してトキソプラズマの終宿主であるネコに捕食されやすくなるような行動変化が起きると共に、運動能力が弱まるとされる(Hrdá, et al. 2000, PubMed)。ZME Scienceが挙げるスタンフォード大学のロバート・サポルスキー(Robert Sapolsky)の研究では、感染したネズミは通常生まれつき避けるはずのネコに惹きつけられるという。

だがトキソプラズマに感染して行動が変化するのはネズミだけではないのかもしれない。人間も同じだとする研究がみられるのだ。

チェコの進化生物学者ヤロスラヴ・フレグー(Jaroslav Flegr)は、トキソプラズマが人の精神運動機能に影響を与えるとしており、トキソプラズマ感染者はそうで無いものよりも交通事故リスクが2.65倍高いという実験結果を出している。フレグーは、トキソプラズマは我々のニューロン間に変更を加えることで、恐怖的な状況や他者への信頼、そして社交性や一部の臭いに対する反応を変えているのではないかとしている。

 

トキソプラズマで起業?

Credit: CDC/Alexander J. da Silva, PhD/Melanie Moser

Proceedings of the Royal Society Bで7月25日に発表された研究では、アメリカの1495人の学生を調べ、トキソプラズマ感染と恐怖に関する反応を調べている。その結果、トキソプラズマに感染している学生は経営学を専攻する可能性が1.4倍高いことが判明した。さらに経営学の中でも特に経営と起業を学ぶ傾向1.7倍高かった。

また、トキソプラズマに感染した者の中でビジネスイベントに参加する者は、自ら起業する確立が非感染者の1.8倍高かったという。更に、トキソプラズマ感染率の高い国々は、起業活動もより盛んであるともしている。

もしかしたらトキソプラズマによりリスクを取ることに対して恐怖を感じづらくなっているため、リスクを取ることが必要な起業をより行いやすくなっているのかもしれないが、それらの直接的な関係性を示した研究では無いと言うことも頭の片隅においておこう。