ハリケーンが去った後生き残ったのは体に特徴あるトカゲたち…自然選択か?

ハリケーンの直後、生き残っていたのは枝に掴まるのが上手いトカゲたちだった。もしかしたらこれは自然選択の例なのかもしれない。

 

自然災害を前に、人と自然は…

ハリケーンなどの自然災害が来る前に避難できる人間や、人間の力を借りて避難が可能なペットや家畜などとは違い、大自然を生きる動物達はそう上手くは災害の被害を逃れることはできない。人は気象予報や報道通信などを通じて事前に自然災害の可能性や被害が起こる地域を予測し、それを役立てることができる。人間と近い場所にいる動物の例としては、アメリカの動物保護組織、米国人道協会(The Humane Society of the United States)はハリケーンの通り道にある動物保護施設から他州の施設へとハリケーンの直撃を受ける前に保護動物を移動させるなどしている。

それ以外の生き物たちはそこまで幸運ではない。ZME Scienceによれば、1989年のハリケーン・ヒューゴはサウスカロライナ州のマリオン国立森林公園のホオジロシマアカゲラをほぼ全て消し去った。また、500の鳥のグループのうち60%が失われ、それらの鳥たちがすむ樹洞のある木の87%が破壊されたのだ。

だが、このような自然災害に直面して、自然生物の中にはそれがもつ特徴のおかげであるものは生き残ることがある。しかしそのような「自然選択」がハリケーンによって引き起こされたと思しき例は今まで確認されていなかった。

 

生き残ったトカゲたち

ハーバード大学の研究者たちは2017年、ハイチ共和国とドミニカ共和国のあるイスパニョーラ島の北に位置するタークス・カイコス諸島のパイン小島とウォーター小島(Pine Cay and Water Cay)で、アノールトカゲ属の「Anolis scriptus」の調査を行った。研究者たちが調査を終えて間もなく、この地はカテゴリ5の今日大型ハリケーン・イルマとマリアに襲われた。これは自然災害が野生生物環境に与える影響を調べるまたとない機会だ。研究者たちはこの機会を最大限に活用しようと、ハリケーンが去り次第島に戻り調査を行うことにした。

ハリケーンが去った後の調査では、研究者たちはトカゲたちの「しがみつき」能力と関連あると推測される脚の長さと足指の表面積に注目した。

すると、ハリケーンを生き延びたトカゲたちはどちらの小島においても特に足指と前肢が大きく、後肢の短いものが生き残ったことが判明した。これはハリケーンによる自然選択によるものであると強く示唆するものであると研究はしている。

研究者は後にこのトカゲを棒に留まらせ、そこに風を吹き付けることでハリケーンを再現する動画を撮影しているが、そこではトカゲの姿勢から、後肢が大きいと風を起きる表面積が大きくなるため風により飛ばされやすいこと、前翅と足指が大きいことで棒にしっかり捕まっていられることなどが見て取れる。また、調査では生き残った雄は体が小さいこともわかっており、これらのことからは風の影響を少なく受けたトカゲが生き残ったのであろうことが考えられる。

今後より大きな気候変動が起こることが予想されており、このような現象を研究し進化動態をより深く理解することは、自然災害から生物を保護するのにも役立つだろう。今回の研究はNatureに7月25日に掲載されている。