【宇宙旅行が実現する日】第2回:アマゾン創業者によるブルー・オリジンの宇宙旅行

現在独自の輸送手段による火星旅行を計画し、その実現に近い民間企業が2社ある。ワシントン州を拠点とするブルー・オリジン社と、ニューメキシコ州を拠点とするヴァージン・ギャラクティック社だ。
 
そのうちブルー・オリジンは、ネット通販でおなじみのアマゾンを創業したジェフ・ベゾス氏が立ち上げた企業だ。
 
おそらく今最も宇宙旅行の実現に近いと思われる、ブルー・オリジンによる宇宙旅行計画の全貌に迫ってみよう。
 

スペースXと同じ再使用ロケットを採用

Image Credit by ブルー・オリジン

ブルー・オリジンが宇宙旅行に使用するのは、再使用型のロケット「ニュー・シェパード」だ。ロケットは推進モジュールの上に宇宙船カプセルが乗っかった構造となっている。
 
ニュー・シェパードは打ち上げられると宇宙船カプセルが高度100kmの宇宙へと到達し、乗員は数分間の無重力が体験できる。さらに宇宙船カプセルの窓からは、丸い地平線や黒い宇宙と青い地球のコントラストなどが眺められるのだ。
 
そして打ち上げられた推進モジュールは、エンジン噴射によって地上に着陸し、再使用することができる。また宇宙船カプセルは、パラシュートと小規模なロケット噴射で地上へと帰還する。
 

快適性を重視した船内

Image Credit by ブルー・オリジン

宇宙船といえば、窮屈な船内に大人数人がギュウギュウに押し込められるイメージが強いのではなかろうか。しかしブルー・オリジンが提案する宇宙旅行は、それとは一線を画する。
 
ニュー・シェパードの宇宙船カプセルは6人乗りで、内部には乗員が重力に耐えられるように傾斜したシートが設けられている。
 
また、この宇宙船での旅行には特殊な訓練は必要ない。おそらく健康であることは求められるだろうが、それさえクリアできれば誰でも宇宙旅行が楽しめるのだ。
 

ダミー人形を載せてのテストにも成功、いよいよチケット販売へ

Image Credit by ブルー・オリジン

ほぼ毎回ロケットの打ち上げを実況するスペースX社と異なり、ブルー・オリジンはそのロケット開発の進捗を大々的には宣伝してこなかった。しかし、その成功率の高さには目を見張るものがある。
 
ニュー・シェパードはすでに9回のロケット打ち上げと8回の着陸、そして2機のロケットの再使用に成功している。また宇宙船カプセルに人形をのせての打ち上げを実施し、実際の宇宙旅行の際の安全性の確認も実施している。
 
ブルー・オリジンは2019年から宇宙旅行のチケットの販売を開始すると宣言している。その価格はまだ明かされていないが、関係者への取材では一人あたり20万〜30万ドル(約2200万円〜3300万円)が設定される見通しだ。
 
静かに、しかし着実に宇宙旅行を実現させようとしているブルー・オリジン。金銭面のハードルさえクリアできれば、宇宙への切符は夢物語ではないのだ。
 

塚本直樹

*Discovery認定コントリビューター

IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki