「北米のガラパゴス」海洋保護区7倍拡大の理由はサメにあった

北米最大の海洋保護区であるメキシコのレビジャヒヘド国立公園。現在メキシコ海軍により守られているこの保護区は、サメのトラッキングデータが無かったら今の7分の1の大きさだったかもしれない。

 

保護区拡大の理由とは

Credit: Declaratoria Oficial de Patrimonio Mundial de la Humanidad del Archipiélago de las Islas Revillagigedo, CC BY 2.0

カリフォルニア大学デービス校(以下UCデービス)によれば「北米のガラパゴス」とも呼ばれるこの国立公園は、世界遺産レビジャヒヘド諸島各島の約74kmを含む、周辺約15万平方kmを保護している。しかしもともとこの場所はレビジャヒヘド諸島それぞれの島の周辺約10kmまでしか保護されていなかった。

何故この保護区は拡大したのか、その理由はサメの行動範囲にあった。

 

サメの行動範囲

Credit: UC Davis

UCデービスの研究者らが2009年から2010年にかけてこの地域のサメを音響と衛星によりトラッキングしたところ、サメたちの活動範囲は島の10kmよりもはるか遠くにまでおよび、島の周辺のみならず、それぞれの島々の間を移動していることが判明した。研究ではアカシュモクザメのデータが用いられ、各島からの保護距離を40海里、約74kmとすべきとの結果に至った。

この推薦保護範囲は2014年にメキシコ自然保護地域委員会(Mexican Commission of Natural Protected Areas)に提案され、UNESCOの世界遺産ドキュメントにも記載されることとなった。後に拡大された国立公園のデザイン案が提出され、これが認められることにより、2017年11月に晴れてこれまでの7倍の保護範囲の海洋保護区が誕生したのだ。

研究の焦点はサメの行動範囲にあったものの、これを保護区とすることで、その範囲内に生息するのより行動範囲の狭い生物たちも守られることになる。UCデービスの発表の中で研究者の一人、ジェームズ・ケッチャム(James Ketchum)は、「アイデアはその全てを保護することである」と語っている。彼によればレビジャヒヘド諸島はこれまで長きにわたり人間により搾取されて来ており、少なくともここ20年間は保護の必要があったとのことで、その保護がようやく実現したとしている。

この保護区指定でここでの掘削、漁、観光開発が規制されることとなった。これにより、サメやオニイトマキエイ、ザトウクジラ、イルカ、魚や渡り鳥など様々な生き物にとり重要なこの地域は、今後守られていくこととなるだろう。