シャープな海王星の撮影成功…宇宙観測の長年の敵、大気の揺らぎをレーザーによる補正で

こちらはヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTから海王星を写したもの。「ちょっとぼやけてるんじゃ…」と突っ込みを入れたくなる人もいるだろうが、これまで地上からここまではっきりと海王星を写すことはできなかった。実はハッブル宇宙望遠鏡から撮影したものよりもシャープな画像となっている。これは新たな補償光学モードのおかげだ。

 

補償光学で鮮明画像

Credit: ESO/P. Weilbacher (AIP)

地球から宇宙を撮影するときに問題となるのは、地球の大気の揺らぎだ。これにより画像がぼやけてしまう。(左が今回の補償光学モードで捉えたもの、右が補償光学なしの映像だ。)

今回、「レーザートモグラフィー(レーザー断層撮影)」という新たな狭視野補償光学(Narrow-Field Adaptive Optics)モードを用いることで、望遠鏡上空の異なる高度での乱気流による影響をほぼ全て補正することに成功した。レーザートモグラフィーでは、オレンジ色をした直径30cmのレーザーを空に放ち、これをレーザーガイド星として用い、大気の乱気流を1秒間に1000回計測し、これに合わせてUT4望遠鏡の可変形状セカンダリミラーの形状を変えることにより光の歪みを補正する。

 

地上より宇宙を鮮明に…

Credit: ESO/P. Weilbacher (AIP)/NASA, ESA, and M.H. Wong and J. Tollefson (UC Berkeley)

こちらの画像は左が今回のVLTのもの、右がハッブル宇宙望遠鏡からのもの。ハッブルからの写真よりもはっきりと海王星が写っていることが判るだろう。

これによりVLTのUT4望遠鏡は大気の揺らぎによる影響を受けることがなくなると共に、理論上最大の鮮明さを得ることとなった。しかし「狭視野」補償光学という名称からも想像のつくとおり、この技術は夜空を大きく撮影するには用いるのではなく、非常に限られた地域を撮影するための技術だ。

だが今回の補償光学技術を用いた観測により、天文学者たちは遠くの銀河の超大質量ブラックホールや若い恒星の放つジェット、球状星団などなどを地上からより詳細に観察することができるようになったのだ。