既知種と思われていた深海のツノザメ、実は新種と判明

フロリダ工科大学がツノザメ科の新種を発見した。新種は「シャーク・レディー」の愛称で親しまれた海洋生物学のパイオニア、ユージェニー・クラークから取られ「Squalus clarkae」と命名された。

 

新種のツノザメ

新種のツノザメ科の魚は、メキシコ湾と西大西洋の深海に生息するもので、これまでは日本原産の「フトツノザメ」(Squalus mitsukurii)だと分類されてきた。しかし、遺伝子テストと形態分析により、これがフトツノザメの近種ではあるものの異なる種だということが判明したのだ。その概要はジャーナルZootaxaのVol 4444, No 2に掲載されているが、この研究からは、Squalus clarkaeの方がフトツノザメと比べて体が長く、眼窩間隔と尾びれが小さく、最初の背びれのプロポーションが異なるという特徴を持つことも判明した。

フロリダ工科大学の助教授でサメ生態学者のトビー・デーリー=エンゲルが同大学のプレスリリースで語るところによれば、深海のサメたちは進化ストレスにより皆よく似た形状になるので、進化的にどの時点で別の道を辿ったのか、どれだけ違うものなのか、といったことを明らかにするには遺伝子テストに頼るほかないそうだ。また、現在サメは乱獲や混獲など数々の脅威にさらされており、今回のような研究はサメの保護にも不可欠だとデーリー=エンゲルは語っている。

 

シャーク・レディー

Credit: Mote Marine Laboratory & Aquarium via Facebook

ユージェニー・クラークはモート・マリーン研究所の創設者でもあり、海洋生物学、そしてサメの生態学のパイオニアとして知られる。しかし彼女の功績はそれだけでなく、これまで男性中心であった海洋学の世界で初めて大活躍した女性であったということも忘れてはならない。彼女は惜しまれながら2015年に92歳でこの世を去った。

なおデーリー=エンゲルは幼い頃からユージェニー・クラークの本を読んで育ったといい、後にアメリカ板鰓亜綱学会で彼女と対面してもいる。「彼女は私たちみんなの母親」であったとサメ生態学者への彼女の貢献を語ると共に、彼女はサメ生態学初の女性学者というだけでなく、サメ研究の先駆者でもあったとも語っている。