幻想的な「創造の柱」…5700光年彼方を解き明かすための複眼的な観測

M-16、わし星雲の中心には「創造の柱」として知られる若い星の星団NGC6611が存在する。このような遠く離れた宇宙の観測、研究には多数の観測衛星が協力した複眼的な視点が欠かせない。

 

創造の柱

この創造の柱の合成画像を見たことあるという方も多いだろうが、今回お見せしているものは7月12日に公開された新たなものだ。

画像はNASAのチャンドラX線観測衛星のX線データと、ハッブル宇宙望遠鏡からの光学データとを組み合わせ、光学データは星間ガスや宇宙塵が強調されるようフィルターがかけられている。そのため、茶色の星雲に青緑の霞がかっているように見え、一部の恒星はピンクの点に見える。X線データでは、低、中、高エネルギーのX線が、赤、緑、青で示されている。

 

複眼的な視点

Credit: X-ray: NASA/CXC/INAF/M.Guarcello et al.; Optical: NASA/STScI

地球から5700光年離れた創造の柱とその周辺に関しては、チャンドラX線観測衛星はもちろんのこと、ハッブル宇宙望遠鏡、スピッツァー宇宙望遠鏡、ヨーロッパ南天天文台など、様々な観測衛星/観測所が協力して観測することで様々なことが判ってきた。

2012年にThe Astrophysical Journalに発表された研究では、このような協力で得られたデータを分析している。そのときのX線データからは、わし星雲全体から1755の個別のX線放出源が検出され、光学データと赤外線識別を用いることでわし星雲よりも遠くにあったり手前にあったりするものも取り除くと、3分の2以上のX線放出源はNGC 6611の若い星々からのものだと判明した。

またチャンドラのX線観測では、若い恒星や、まだ恒星になる途中の原始星たちを何百も認識することが可能だった。そしてスピッツァー宇宙望遠鏡とヨーロッパ南天天文台による赤外線観測では、わし星雲内のX線放出源の219が宇宙塵のディスクに囲まれた若い恒星で、964がそのようなディスクを持たないものであることが判明した。

これらの観測データを組み合わせることでは、ディスクのない若い恒星は平均してディスクを持つ若い恒星の数倍激しいX線活動を行っていることも判った。これはディスクが主星の磁場と影響し合うからであると考えられる。原始星の周りの物質はしまいには主星からの放射により吹き飛ばされるとされているが、中には惑星へと成長を遂げるものもいるだろうとNASAはしている。

また、研究ではM-16のX線特性と、オリオン大星雲の星団とを比較。X線光度関数が共に類似していることから、若い星団のX線光度関数は普遍的であることの裏付けとなったとしている。

このような遠く離れた宇宙の観測、分析には、可視光のみならず、X線、赤外線など、まさに複眼的な視点での観測が重要なのだ。