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西洋のパンツの歴史をたどる…一反の布からハイテクパンツへ

エデンの園で人類が初めて身に着けたもの。

無人島でサバイバルする羽目になったとしたら、これだけはどうしても確保しておきたい衣類。

…そう、パンツだ。

ふだんはあえて脚光を浴びない下着だが、西洋文化におけるその歴史は非常に興味深いものだ。上に着用する衣類との組み合わせ、医学的な見解、そして時代とともに推移する性に対する態度が複雑に絡み合い、その時代特有のパンツを形作った。

オーストラリアのシドニー工科大学でファッションとテキスタイルデザインを教えるアラナ・クリフトン=カニングハム(Alana Clifton-Cunningham)講師が、The Conversation上でパンツの華麗なる変容を紹介している。

 

一反の布から

人が初めてまとった布はおそらく「ふんどし」。エジプトのふんどしは「schenti」と呼ばれ、綿か麻の三角の布を股間に渡してその上からベルトなどで固定したものだった。

とはいえ、ギラギラと太陽が照りつけるエジプトのこと。Schenti以外の衣類はほとんど身に着けていなかったので、ふんどしが服だったと言うこともできるだろう。

やがて高貴な身分のエジプト人はschenti以外にも薄布を体にまとい始めたため、ここに「下着」なるものが誕生することとなった。

 

主張する下着

所変わって中世ヨーロッパでは、1500年頃までは男女共に長じゅばんのようなインナーシャツを着用していた。二股が分かれた下着を男性が着用するようになったのは15~16世紀になってからのこと。ズボンが流行し始めてからだ。

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現代人が下着を隠すことに懸命なのに対して、ヘンリー王朝の貴族男性はわざわざ「コッドピース」を股間につけて、男性的なエネルギーを誇張していた。綿のクッション効果で男性性器を守る役目も果たしていたコッドピースは、今でも形や機能に変化はあれどスポーツ選手や一部ミュージシャンに着用され続けている。

 

着やすさの追求

19世紀の男女は共にズボン下を着用し始めた。股が割れた半ズボンのようなズボン下を穿いていればしゃがんでそのまま用を足せるので、いくら何層のペチコートやズボンを重ねて穿いていようともトイレが飛躍的に楽になったので人気だったのだろう。

余談だが、ネパールやインドの村々ではいまでもトイレトレーニング中の幼児にこのズボン下のように股が割れた半ズボンを着用させている。

その後、男性のズボンの丈が伸びるほどに、その下に着用するパンツの長さも比例して伸びていった。「Long johns」と呼ばれる長袖・長ズボンのオールインワン型の下着も流行し、金持ちならば絹、一般大衆ならばフランネルやウール素材でできたものを着用した。

 

新素材の発明

この時代から下着の素材の追求が始まったともいえるかもしれない。

それまで下着は主に綿と麻を素材に使っていたが、ドイツの衛生専門家、グスタフ・イェイガー博士は肌の近くに自然のウール素材の下着をまとうと毒出し効果があると1882年に発表した。また、手編みの下着は伸びがよく、運動を促進するとも主張した。

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ラテックスが発明されたのが1930年。それ以降、自在の伸縮性を手に入れた下着は現代のような体のラインに密着したかたちに変化していった。さらに1938年に登場したナイロンのおかげで軽くて洗濯しやすい下着が主流になり、パンツの丈がどんどん短くなったそうだ。

1959年に発明されたライクラという新素材はさらにパンツの縮小を促し、60年代の開放的な文化のなかでヒモ同然の下着まで生まれた。

 

機能の追求

パンツの形と素材はこのような相互関係のなかで進化したが、それ以降からは機能がプラスされる傾向が強くなってきたのは興味深いところだ。

クリフトン=カニングハム講師が紹介している例を見てみよう。

シドニー生まれ、ニューヨーク育ちのブランドWearable-Xが開発した「Fundawear」というハイテクパンツには、なんと携帯電話さながらのバイブレーション機能が搭載されているそうだ。スマートフォンのアプリを通じて遠距離恋愛中の恋人がお互いに刺激を送り合えるそうなのだが……、ちょっと使い方には注意が必要かもしれない。

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かたや、イギリスの「Shreddies」は木炭の消臭機能をプラスした「おならフィルタリングパンツ」を開発。軍事目的で使用されている化学兵器にも対応できる素材を使っているそうだ。身近な爆弾を防げるかもしれない。

新素材が発明されるとともに、パンツはこれからも進化していくのだろうか。瞬間乾燥パンツや、形状記憶パンツ(若い頃の体系を記憶させることでダイエット効果につなげる)…そんなパンツが近々デビューするかも…しれない。

 

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