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【人類は火星へ向かう】第4回:超大型ロケットで東京ーNYを40分弱で移動する未来

火星探査から移住まで構想しているスペースX(SpaceX)社と、それに使われる予定の超大型ロケット「BFR(ビッグ・ファルコン・ロケット)」。

しかしスペースXを率いるイーロン・マスク氏は、「ロケットによる地球上の高速移動」という提案もしているのだ。

もしかしたら遠距離移動手段の革命となるかもしれない、BFRの計画について触れてみよう。
 

構想はスペースXの他ロケットと同一

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スペースXのロケットといえば、「ファルコン9」に代表されるようにその着陸システムが特徴的だ。エンジンを逆噴射させて地上に降り立つ姿は、印象深い光景だろう。

そしてBFRも、宇宙船とブースターのどちらもが地上へと着陸できる。

このような着陸システムの採用によって、乗客が搭乗する宇宙船が安全に着陸できるだけでなく、ブースターの再使用によるコスト削減が見込めるのだ。
 

飛行機のようにロケットに搭乗

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それでは、BFRによる移動プロセスを見てみよう。

スペースXが公開した動画では、乗客はニューヨークの埠頭に集まり、その後船でロケットの射場へと移動する。搭乗時刻は6時30分だ。

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BFRは打ち上げ後に宇宙空間に到達し、ブースターを分離。そして宇宙船のエンジン燃焼により、目標地点へと向かう。またブースターは地上に着陸して、次の打ち上げに備えることになる。

なお、BFRの移動速度は時速2万7000kmに達する。ただしこれは第一宇宙速度を超えておらず、BFRが地球を回り続ける衛星軌道に入ることはない。

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そして上海に到着したBFRの宇宙船は、エンジンの逆噴射で海上ポートへと着陸する。その移動時間はわずか39分。この航路は通常のジェット旅客機なら14時間以上かかるもので、その速度は圧倒的だ。
 

エコノミークラス並みの料金を実現へ

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このような巨大ロケットの製造には、それこそ航空機とは比べ物にならないほどの費用が必要なはずだ。

しかしマスク氏は、BFRによる移動費用は「エコノミークラスの運賃程度に収まる」と発言しているのだ。

この仕組みは、「BFRの打ち上げコストが既存ロケットの十分の1程度(500万〜600万ドル以下)と格安になる」という目論見と同義だ。つまり、ロケットは再使用を繰り返せば繰り返すほど、その運用コストが下がるのだ。
 

人類は火星へとたどり着くのか

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火星移住から地上での超高速移動まで、マスク氏の野望をこれでもかと詰め込んだBFRの計画。

従来のロケットと大幅に異なるその外観や構造からは、開発の難しさが容易に想像できる。スペースXが提示している2022年の無人火星探査や2024年の有人火星探査が実現するかどうかは、極めて不透明だ。

しかしマスク氏は、これまで不可能だとされてきた計画を次々と実現してきた。今年2月には、大型ロケット「ファルコン・ヘビー」の打ち上げと3本のブースターの着陸にも成功している。

マスク氏が信じる「物理原則」が宇宙開発の分野でどこまで通用するのか、今後を楽しみに見守りたいものだ。
 
「【人類は火星へ向かう】第3回:イーロン・マスクとNASA、ジェフ・ベゾス…火星レースの勝者は?」の記事を読みたい方はこちら

塚本直樹

*Discovery認定コントリビューター

IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki

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