Credit : Experius VR via Facebook

3250年前のエジプト王妃の墓…美しい壁画に溢れる内部がVRで公開

人が訪れることで遺跡にダメージが危惧され、なかなか行くことのできないエジプト王妃、ネフェルタリの墓。遺跡ファンには嬉しいことにこの墓をバーチャルで訪れることができる無料VRコンテンツが公開された。

 

ネフェルタリの墓

約3250年前に建てられたラムセス2世の正妃ネフェルタリの墓。エジプト、ルクソール県の王妃の谷に位置するこの墓には、現在非常に少人数の人しか訪れることができない。人が訪れることで遺跡内の湿度が上がり、壁画を傷めてしまうからだ。この問題の他にも、地震による崩壊も危惧されている。

この墓は塩で覆われ、バクテリアや菌類によるダメージを受けていたため、1986年から1992年までゲティ研究所とエジプト考古最高評議会が共同でこの墓の修復を行っていた。LiveScienceが元エジプト元考古相のザヒ・ハワスの話として伝えるところによれば、この修復プロジェクトを開始したとき両者は、この墓を公開することはせず、高額の入場料を支払った少人数のみが入れるようにすることに合意したという。入場料は一人あたり1000エジプト・ポンド(約6210円)だ。

しかしネフェルタリの墓は素晴らしい壁画で満ちていることでも有名で、これを一目見てみたいという人も多いことだろう。墓を守りながら、古代エジプトへの人々の関心を満たすにはどうすれば…そこで登場するのがVRだ。

 

VRで訪れるネフェルタリの墓

そう、ネフェルタリの墓内部をVRで再現できるようにするというプロジェクトが行われたのだ。アメリカのVR企業Experius VRから3人が墓を訪れ、3Dスキャンや高解像度画像の撮影を行った。その後2ヶ月をかけてスキャンした3Dデータや写真をVR空間に落とし込んだ。

その成果物は『Nefertari: Journey to Eternity』としてゲーム配信プラットフォームSteamCuriosity Streamなどで無料でダウンロードが可能だ。墓内部に描かれている壁画などはヴァーチャルに「触れる」ことにより、それが何を描いたものであるのかが音声と共に解説されるようにもなっている。これを体験するにはVRヘッドセットHTC Viveが必要となっているが、頭の傾きに応じて映像が傾いたり、モーションコントローラーをVR中で懐中電灯として使用できるなど没頭間も高そうだ。

 

VRで体験する古代遺跡

Credit: Creative Commons

このようにVR技術により行くのが困難な遺跡や、もう行くことのできない古代遺跡を再現する技術は近年増えてきている。今回のネフェルタリの墓はHTC Viveといった高価なVRヘッドセットが必要だが、高価なVRヘッドセット無くして体験できるものも軽く紹介しよう。

Lithodomos VRなどはより安価なGoogle Cardboard(段ボール製の筐体にレンズがついており、スマートフォンをディスプレイとして使用するVRヘッドセット)で古代エルサレムなどをVR体験できるアプリなどを販売している。

また、CyArkとGoogle Arts & Cultureによる「オープン・ヘリテージ」は、自然災害や人の手により破壊されていく文化遺産を後世に残すべく作られたプロジェクトで、こちらはウェブブラウザ上からガバンの遺跡を探索できるほか、その他一部データもウェブブラウザ上で表示できるようになっている。

VRで訪れる遺跡と、本当の遺跡を訪れる経験は同じものではないが、このようなプロジェクトにより、より多くの人が気軽に人類の歴史に触れることができるのは間違いないだろう。

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