Credit : ESA

観測衛星Aeolusの船旅無事終了…地球の大気を深く知り天気予報や異常気象に生かす

8月の打ち上げに向けて発射場のあるギニアまで航海を行っていたESAの地球観測衛星「Aeolus」は無事に船旅を終えた。「でも何故空輸じゃなくて海輸なの?」と思われる方もいるだろう。その理由は、Aeolusがこれまで打ち上げられた中でも最も精密な部類の機器を備えているからなのだ。

 

Aeolusの航海

ギリシャ神話の風の神、アイオロスから名付けられた地球観測衛星Aeolusは、名前の由来の通り、地球の風を観測して風予測を行うための衛星だ。

打ち上げを8月に控えたAeolusは「世界風の日」(Global Wind Day)である6月15日にフランス西部から打ち上げ場に近いフランス領ギアナのカイエンヌの港へと旅立ち、今回12日間の航海を終え無事に港に到着。その後トラックに積まれてそこから60km離れた発射場まで輸送されたとESAは7月6日に伝えている。

素早く運べる空路を使わず、海路で輸送したのは、Aeolusの持つ非常にデリケートな機器が着陸時の再加圧時にダメージを受けるリスクを避けるためだ。

 

宇宙から放つ紫外線レーザー

ESAによれば、現在の風分析は気象観測用ゴム気球などで雲をトラッキングし、気温や海の波を測定観測して行われる。しかしこの方法では非常に限定的な地域や高度の測定しかできない。これを変えるのが、宇宙から観測するすることでより幅広い範囲での観測が可能なAeolusというわけだ。

Aeolusは大気に紫外線レーザーを照射し、風により移動している大気中の粒子が反射したレーザーの後方錯乱を測定することで、風速の高度分布やエアロゾル、雲などの情報を知ることができる。

Aeolusで大気の動きをより深く理解し、世界中のより幅広いデータが得られることで、より正確な気象予報が可能になるため、天気予報はもとより風力発電業界の役にも立つことが期待されているほか、ハリケーンなどの予測、エルニーニョなどの発生パターンのモデリングや、気候変動の研究にも役立てられる。

Aeolus自体は16年前から開発されており、この技術を使う衛星はAeolusが初めてだ。ここで急いで空輸してダメになってしまってはこれまでの苦労も報われないというのもよくわかる。8月の打ち上げの無事を願うと共に、西日本豪雨のような大きな被害をもたらす気象災害がより早く正確に予測できるようになることに期待したい。

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