Credit : Michael Hutchinson via University of Bristol

ダーウィンも見た!風がなくても空飛ぶ蜘蛛たち…その秘密は電場にあった

蜘蛛の中には、空に向かって糸を出して飛んでいくバルーニングを行うものがいる。先日もこのような蜘蛛のバルーニングに関する研究をご紹介したが、その時の研究は小さな蜘蛛たちが足を上げて風速を測定し、飛び立つタイミングを見計らっているというものだった。

しかしバルーニングを行う蜘蛛たちは、なんと無風でも飛べるというのだ。ブリストル大学の生物学者たちは、この不思議な蜘蛛の飛行の仕組みを研究している。

 

風がなくても宙を舞う

ブリストル大学によれば、チャールズ・ダーウィンは海上で風の穏やかな日に突如として数多くの蜘蛛がビーグル号に飛び乗ってきて、後日無風の日にまたしても一斉にすごい速度で飛びたって行くのを目にしたそうだ。

風がなくても飛べるという蜘蛛たちの不思議に興味を持ったのはダーウィンだけではなかった。風の力だけで蜘蛛がバルーニングするとすれば、ある日には多くの蜘蛛が一斉に飛び立ち、別の日には全然飛ばない理由は説明できない。ブリストル大学の生物学者たちは蜘蛛のバルーニングに風以外の理由を探った。

バルーニングを引き起こすことのできる風以外の空気力学的な抗力、そしてそれは蜘蛛が感知することの可能なものである必要もある…。研究を率いたエリカ・モーリー(Erica Morley)博士が語るところによると、多くの蜘蛛たちはバルーニングをする際に複数の糸を扇状に放つ。このことから、静電気力が関わっていると研究者たちは考えた。

中部電力の技術開発ニュースに寄稿する岐阜大学の電気電子工学科教授、高木伸之によれば、実は誘電性の高い電離層と地球との表面に挟まれた大気は、雷雲により充電されるコンデンサのようなもので、これを電気回路に見立て「グローバルサーキット」という。

そんなグローバルサーキットとなっている地球の大気電位傾度(以下APG、Atmospheric Potential Gradient)と全ての物を取り囲む電場(electric fields / e-fields)を虫たちは感知することが可能だ。ブリストル大学が例として挙げるのは、マルハナバチやミツバチだ。マルハナバチは彼ら自身と花との間に沸き起こる電場を感知できるし、ミツバチは自らの電荷を使って巣とコミュニケーションを取る。

 

電場で飛ぶ蜘蛛たち

今回の研究ではハチたちのように蜘蛛も電場を感知し、これに反応することが初めて示された。実験環境で大気と同様な電場を作り出せるようにし、これをオンにすると蜘蛛たちは上へ移動し、バルーニングの直前に見せるつま先立ち動作を行い、オフにすると下方向へと移動することが判明した。

さらに、この実験環境でバルーニングすることも確認できたほか、一度バルーニングして宙に浮かんだ蜘蛛の高度は電場をオン・オフする事により調整可能だった。つまり、髪の毛が静電気で逆立つのと同じようにして、風がなくとも蜘蛛たちは電場があれば糸を使って空へと飛ぶことができるのだ。

蜘蛛が電場これをどう感知するかについては、蜘蛛の足の毛が、電場に応じて動くことが観察されている。これは蜘蛛が風を感知するのに用いられるのと同じ毛で、この毛により風や電場を感知していると考えられる。

自然な環境でのバルーニングには電場だけでなく、風と電場を組み合わせて飛んでいると考えられるが、羽もなく、風も必要とせずに飛ぶことのできるとはなんとも興味深い。今回の研究はCurrent Biologyで7月5日に発表されている。

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