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人はなぜ迷信を信じるのか…研究が示すその効果とは

超自然的な力により予測不能な要素に影響が与えられる、という迷信は今でも信じられている。The Conversationではマンチェスター・メトロポリタン大学の研究者らにより「迷信の科学」が語られている。

 

今でも信じられる迷信

13階のない建物、17列目のない飛行機、兎の後ろ足のチャーム、夜口笛を吹くと蛇が出る、恵方巻き…などなど、無関係な行為や現象が、その後起こりうる結果にポジティブまたはネガティブな影響を与えるとする迷信。The Conversationの記事によれば今でもアメリカでは25%の人が自ら迷信を信じているとしている。

一見すると科学的根拠に乏しい迷信ではあるが、そんな迷信を科学した研究なら存在する。

 

迷信は何故起こる?

1982年のPadgettらの研究からすると、経済危機は人々の間の迷信を増す原因となるようだ。研究では、1918年から1940年までのドイツとその当時のドイツの定期刊行物に見られる占星術、神秘主義、カルト関連記事数の相関関係を調べている。1918年の第一次世界大戦敗戦から経済悪化、更に1930年の世界恐慌から第二次世界大戦への突入、とこの当時のドイツは騒然としていた。研究ではこの期間の経済的脅威変数から迷信レベルの有意な予測が可能であるとしている。

カンザス州立大学の心理学准教授ドン・ソーシエ(Don Saucier)がNews Wiseに語るところによれば、迷信に基づく行為は人々が先の見えない不安に対処するために行い、自分の未来に影響を与えようとする行為だ。経済危機などと言った人一人の力ではどうにもできない規模の現象において、先行き不明な自分の未来をどうにかしてよりよい方向へ向かわせたい。自分の世界の未来を予期できコントロールできる形へ戻したいという気持ち。それが人に迷信的な行動を取らせるのである。

 

迷信とスポーツ

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競技の前に特定の行為を行ったり、チームが勝っている間幸運が逃げないようにユニフォームを洗わないなどといった迷信的な儀式がよく見られるのがスポーツの世界だ。

バスケットボールのマイケル・ジョーダンがシカゴ・ブルズのユニフォームの下にノースカロライナ大のショーツを着用していたし、タイガーウッズは赤いポロシャツでゴルフトーナメント最終日に挑む。スポーツは違えど、野球、アイスホッケー、短距離走など、様々なジャンルでこのような迷信的儀式が見られるのはスポーツファンでなくとも耳にしたことがあるだろう。(なおスポーツではないがロシアの宇宙飛行士たちもミッション前に独特の儀式を行う

BelievePerformは不確実性と重要度が高い場合、特にこのような儀式の重要性が高まるとする研究(Schippers, Van Lange, 2006)を紹介している。相手に備えるための準備は全てしたものの、こちらが勝てる相手か判らない、重要な試合…そんな時にしたくなるのがこのような迷信的儀式ということだ。

 

迷信の効果

しかしこのような儀式を行うことにより、自信を上昇させ、その結果パフォーマンスが向上するという研究もある(Damisch, Stoberock, Mussweiler, 2010)。研究では、幸運に関係するとされる迷信的行動や発言を行ったり幸運のお守りなどにより、その後行うパフォーマンスが向上されるという結果が示されている。研究ではゴルフ、運動の器用さ、記憶、アナグラムゲームなどでパフォーマンス向上がみられ、これは迷信により自らが感じる自己効力感が向上したためではないかとしている。

また、The Cutでは、迷信的儀式により緊張が和らぐとする話や、このような儀式を信じていないスポーツ選手が同様の儀式を行っても効果は無いという研究を伝えている。

自らの持つ不安を根拠無き迷信を盲信することにより解消しようという迷信。だがこれらの結果からは、それらを信じることで根拠無き自信を生み、自らが内に秘めた力を引き出す、「信じるものは救われる」という力はあるようだ。

なお、このような迷信による面白い例としては、13日の金曜日に恐怖するあまり外出を控える人が多いためか、自動車事故などが減少するというオランダの研究もある。これらのことを踏まえ迷信と上手く付き合っていくことができればいいかもしれない。

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