【人類は火星へ向かう】第3回:イーロン・マスクとNASA、ジェフ・ベゾス…火星レースの勝者は?

火星移住にも使えるロケット、そして火星コロニーの建設計画を語る、スペースX(SpaceX)社の創業者ことイーロン・マスク氏。

しかし、火星を目指しているのはマスク氏だけではない。NASAという強力なライバルが存在し、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏も宇宙開発計画をすすめている。

初めて人間を火星へと届けるのはどの組織になるのか、この記事では追ってみよう。

予定通りなら火星に最も早く到達するスペースX

Credit by スペースX

火星への有人探査計画について、最もアグレッシブなプランを提示しているのがスペースXだ。

同社は現在開発中の超大型ロケット「BFR(ビッグ・ファルコン・ロケット)」を利用し、2022年には2機のロケットによる無人探査を、そして2024年には2機の有人ロケットと2機の無人ロケットを組み合わせた火星探査を計画している。

ただし、スペースXの宇宙開発計画には年単位の遅れがつきものだ。例えば同社の大型ロケット「ファルコン・ヘビー」は2013年の初打ち上げを予定していたものの、実際には5年後の2018年に打ち上げ実験にこぎつけている。

そのことを考慮に入れると、スペースXの火星探査計画に5年や10年の遅れが発生したとしてもなんら不思議はない。

着実な火星到達を狙うNASA

Credit by NASA

これまでアメリカの宇宙開発を担ってきたNASAも、火星の有人探査計画をすすめている。

NASAは現在、超大型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」を開発している。これは全長110メートル、打ち上げ能力70〜130トンを誇る新型ロケットで、そのエンジンやタンクにはスペースシャトルの技術を流用。また、有人探査の際には宇宙船「オライオン」が搭載される。

SLSは2020年に無人での初打ち上げミッション「EM-1」を実施し、2030年代には有人での火星探査を実施する予定だ。しかしスペースXのBFRと同く、SLSも開発スケジュールもたびたび延期されてきた。

現時点では、スペースXとNASAのどちらが先に火星に到達するのかは不透明だ。

強力な伏兵となったブルー・オリジン

Credit by SpaceX

スペースXとNASAの宇宙開発競争に割って入るのが、ジェフ・ベゾス氏が立ち上げたブルー・オリジン社だ。

ブルー・オリジンは2016年に突如、超大型ロケット「ニュー・グレン」の計画を発表。全長82〜95メートル、直径7メートルと巨大なこのロケットは、3段式の構成なら月や火星を含む惑星探査機も打ち上げられる。さらに、同社はより大型なロケット計画「ニュー・アームストロング」にも言及している。

ニュー・グレンは2020年頃の初打ち上げと、2021年からの商業打ち上げが予定されている。さらにベゾス氏は「アマゾンのように月へと荷物を届けたい」と語り、NASAやESA(欧州宇宙機関)と協力して「月面コロニー」を建築したいとも表明しているのだ。

現在ブルー・オリジンのベゾス氏は火星開拓について具体的な計画には言及しておらず、そのターゲットは月へと向けられている。今後、ニュー・グレンやニュー・アームストロングが火星探査に利用される可能性は十分にありそうだ。

「【人類は火星へ向かう】第2回:火星コロニーへの移住は実現可能なのか、イーロン・マスク氏語る」の記事を読みたい方はこちら

塚本直樹

*Discovery認定コントリビューター

IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki