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宿題終わったよ。ホントだよ。

子どもはなぜウソをつくのか…知られざる成長のメカニズム

目やにをつけたままで「顔洗ったよ」、
ノートは真っ白のままなのに「宿題終わったよ~~!」。

なぜ幼い子どもは不毛なウソばかりつくのだろうか?

このままウソつきな大人になってしまったら――そう心配する前にまず、ウソは正常な発達の一環と理解してほしいとマッコーリー大学講師のペニー・ヴァンバーゲン氏とキャロル・ニューウォル氏は説明している。

ふたりがThe Conversationに寄稿した記事には、ウソをつく子どもの心理について興味深い洞察の数々が述べられている。その内容をかいつまんで紹介しよう。

 

ウソのつき始め

子どもは通常2~4歳ぐらいからウソをつき始めるという。この頃のウソは効果が薄く、ユーモラスな要素が強い。まだウソのつき方が洗練されていなくてすぐにバレてしまうからだ。

口のまわりがチョコレートでベタベタになっていながらも、チョコを食べていないと言い張る。そんな他愛のないウソが家族を笑いの渦に巻き込むこともしばしばではないだろうか。

発達心理学の観点から見ると、この頃の子どもがつくウソは他者の存在を認め始めている証拠だという。子どもは自分と他者とを区別し始め、他者は必ずしも自分と同じ考えや、感情や、望みを持っていないことをこの頃から意識しはじめる。その結果、あたかも他者の気持ちを代弁するかのようなウソ(「パパがアイス食べていいって言ってたよ」)をつくそうだ。

ウソ自体は社会的によくないかもしれないが、他者がなにを考え、どのように感じているかを推察する力はのちに共感へとつながり、大切な社会能力に発達していく。

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ウソの上級者

もっと成長して他者の視点からより物事を捉えられるようになってくると、子どもたちは徐々にウソをつくのが上手くなってくる。相手から見たらおよそ信じがたいか、あるいはまともな内容に聞こえるかを気にし始めるためだ。また、長時間ウソをつき通すことができるようになってくる。

同時に羞恥心も芽生えてくるそうだ。幼い子どもが利己的なウソをつく傾向にあるのに対し(「おやつまだ食べてない」→本当は食べたけどもっと欲しい、など)、年を重ねるごとにウソを区別するようになる。誰も傷つけない他愛のないウソをついてもさほど罪悪感はないが、中傷的だったり反社会的なウソをつくのは恥ずかしい、あるいは罪深く感じるようになるという。

また、思春期に突入し、親に干渉されたくない個人的な内面が色濃くなるとともに、自分のプライバシーを保護するためにウソをつくのは妥当だと感じるようになるという。

アメリカにはこんな研究結果があるそうだ。ティーンエージャーを対象に、親にどんなウソをついたことがあるか調査したところ、82%が金、酒、ドラッグ、友達関係、異性関係、パーティー、セックスのいずれかについてウソをついたことがあると述べた。友達関係についてのウソ(67%)と、酒・ドラッグの使用についてのウソ(65%)が多かったのに対し、意外にもセックスについてウソをついた子どもは32%に留まった。

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ウソをつく子どもにどう対応するか

いずれの発達段階においても、ウソは子どもたちが社会を生き抜くために使うひとつの手段。暖かい目で見守りつつも、ウソについて親が率直でオープンな対話を心がければ、ウソをつき続ける必要が減っていくのではないかとヴァンバーゲン氏らは提案している。

具体的には、まず子どもがウソをついたからと言って過剰な罰をあたえないこと。ルールの厳守を重んじ、逸脱したときに親子の対話を設けない家庭では、子どもたちがよりウソをつきやすくなるという研究結果もあるそうだ。

二つ目は、子どもと対話を重ねて、ウソがもたらす感情やモラルハザードについて話し合っておくこと。また真実を語ることのメリットも共有しておくと、本当のことを言う習慣が子どもの自尊心を高めるという。

三つ目は、ウソが本当にウソがどうかを見極めること。小さな子どもは特に現実と空想とをいっしょくたにする傾向にあるので注意が必要だという。同じ事柄でも、人によって記憶が食い違っていることもよくあることだ。

そしてもし子どもが虐待を報告した場合は、絶対に聞き逃さずに真意を明らかにすること。

親だって時にはウソをつくこともある。お互いを認め合いつつ、ウソに隠された真意をさぐっていくことで双方向の理解が深まるのではないか。

 

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