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氷河から溶け出す栄養素の影響とは…国際チームがフィヨルド調査に

氷河が溶けることで与える影響は海面上昇だけではない。氷河からは、海の食物連鎖の基盤となる藻の成長に不可欠な栄養素が出ていることが判明しているが、それらがどれだけどのように海に広がるのかはよくわかっていない。これを調べるため国際チームがフィヨルドに向かった。

 

氷河と栄養の循環

氷河はリン酸塩、ケイ素、鉄といった、海に住む藻の成長に欠かせない栄養の源となっていることが知られている。しかしそれがどのように海に広がっていくのかは完全に理解されていない。世界中の氷河が溶け行く中で、氷河の栄養素が海に与える影響を知ることは重要なことだ。

この調査に当たるのは、イギリスやアメリカの複数の大学からなる科学者チーム。欧州研究委員会(ERC)が資金提供するプロジェクト「ICY-LAB」の一環として、彼らは7月1日からグリーンランドのフィヨルドへと2週間の調査に向かった。フィヨルドは、氷河から溶け出た水が海へと流れ出る重要な移行帯なのだ。

航海に出たチームは、フィヨルドの水をフィルタリングし、同位体分析をはじめとする様々な分析を行う。船にも各種センサーが取り付けられており、水温、塩分濃度や酸素濃度、有機体や藻を感知できるようになっている。

 

理解を深め謎を解け

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これに先行するICY-LABの研究としては昨年ラブラドル海とグリーンランド沖にて行われた、氷河から溶け出た水と海洋循環を調査したものがある。そこでは1週間をかけて2万8000リットルの海水を採取、フィルターし、50m分の海成堆積物と、1551の生物標本が集められた。このときのデータからは、これらの溶け出た水が沖に向かう海流に与える影響が明らかになっている。

しかし藻の栄養素となる物質がここから沿岸海洋へ、そして外洋へと流れ出すかどうかは未だ謎だ。だが、ブリストル大学地球科学学科のケイト・ヘンドリー(Kate Hendry)博士が同大学のプレスリリースで語るところによれば、この謎を解くのはそう単純ではないようだ。これは様々な化学要素がそれぞれ異なる振る舞いをするためであり、この度の調査によりこれまでの調査で見いだした点を繋ぎ、沿岸で起こるプロセスへの理解を深める必要があるとしている。

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