ISSへの補給宇宙船、様々な最新実験機器を積み飛び立つ

微生物燃料電池の研究や、地球の干ばつの影響を調べるための機器、そしてAIコンパニオンを積んだ積み荷が6月29日にISSへ向かい打ち上げられた。

 

積み荷を乗せてドラゴン飛び立つ

6月29日、ケープカナベラル空軍基地よりSpaceX社の貨物宇宙船が打ち上げられた。NASAの商業軌道輸送サービス契約の元で行われているもので、同契約でのSpaceX社の貨物輸送フライトとしては15回目となる。

ファルコン9ロケットにより打ち上げられた貨物宇宙船ドラゴンには、補給品と共に、細胞生物学、地球科学、AI研究用物品など計5900ポンド以上、キログラム換算で約2680kg以上の積み荷が搭載されている。どのような研究機器が載っていたのか少しご紹介しよう。

 

エクソ電子発生微生物の微重力実験

Credit: Cultivating Bacteria’s Taste for Toxic Waste. Gross L, PLoS Biology Vol. 4/8/2006, e282 , CC BY 2.5

今回運ばれる研究資材の中には「Micro-12」というものがある。これは、「エクソ電子発生微生物」(exoelectrogenic microbe)であるシュワネラ属の「Shewanella oneidensis MR-1」の成長や遺伝子発現に微重力がどのような影響を与えるかを調べるものだ。

このエクソ電子発生微生物というものは、有機物を食べて電気を生み出すことが知られている。そのためこれを微生物燃料電池として、廃棄された有機物質から電気を作ることなどが模索されているが、この生物に微重力が与える影響を調べることで将来の宇宙ミッションでも使えるかどうかを探ることができるのだ。

 

植物を観測ECOSTRESS

地球科学に用いられる機器としては、熱ラジオメータである「ECOSTRESS」というものが今回運ばれた。これは、ISSから地球表面を高時空分解能熱赤外線測定(high spatiotemporal (space-time) resolution thermal infrared measurement)可能な初の機器。

NASAによれば、このECOSTRESSを用いることで、利用可能な水量の変化が陸生生物圏に与える影響や、昼行性植物にかかる水ストレス(干ばつなど)が地球規模の炭素循環にどのような影響を与えるのか、農業用水使用量の高度なモニタリングや、より優れた干ばつ予測などを通じて農業の脆弱性を軽減可能か、などが探られる。

 

コンパニオンAI「CIMON」

Credit: DLR/T. Bourry/ESA.

また、これらに加え、ISS乗組員をサポートするコンパニオンAI「CIMON」が、長期の宇宙任務におけるAIの効率性や受容性の研究に用いられる。

ボールに液晶画面がはめ込まれたようなCIMONは、ドイツで製造開発された。CIMONにはIBM Cloudの音声操作AI技術「Watson AI」が使用されており、宇宙飛行士たちはハンズフリーで音声によりドキュメントやメディアへのアクセスが可能になる。このような能力により、複雑な科学実験を行う際などに、その場で手順を示す動画を参照しながら実験を行うことで、作業効率が上がるというわけだ。

これらの積み荷の受け取りは、NASAの宇宙飛行士リチャード・アーノルドとアンドリュー・フェウステルの操作するISSのロボットアーム「カナダアーム2」を用いて、7月2日に行われた。