Credit : インターステラテクノロジズ株式会社

ホリエモンの国産民間ロケット、宇宙への到達叶わず

北海道大樹町をベースとする民間宇宙開発企業のインターステラテクノロジズは、2018年6月30日に観測ロケット「MOMO2号機」の打ち上げ実験を実施した。

ロケットは点火後に数秒間飛行するも、そのまま地面へと落下し炎上。残念ながら、実験は失敗に終わった。

ホリエモンこと堀江貴文氏がファウンダーに名を連ねている同社の宇宙開発計画について、これまでの経緯と将来の計画まで迫ってみよう。

宇宙には到達しなかったMOMO初号機

Image Credit by インターステラテクノロジズ株式会社

宇宙の定義はさまざまだが、一般的には高度100kmより上空が宇宙と呼ばれている。そしてインターステラテクノロジズが2017年7月に打ち上げ実験をおこなったのが、宇宙を目指す観測ロケット「MOMO初号機」だ。

MOMO初号機は全長約10m、太さ50cm、重量1.15トンの小型液体ロケット。重量20kgのペイロード(荷物)を高度100kmへと打ち上げることができる。なお、この仕様は2号機でもほぼ変わっていない。

2017年7月の打ち上げでは、ロケットが地面を離れる「離床」には成功したものの、高度10km付近、打ち上げから66秒後に通信が途絶。機体に最も負荷がかかる「Max Q(マックス・キュー)」というポイントを超えられなかったとみられている。なお、ロケットは慣性で高度20km付近まで上昇したようだ。

初号機のリベンジを誓うMOMO2号機

Image Credit by インターステラテクノロジズ株式会社

MOMO初号機の結果をふまえ、MOMO2号機ではMax Qに耐えるべくボディや尾翼などの構造強化が実施された。また、ロケットの回転を制御する「ロール制御」の方式にも変更がくわえられている。

そして、ペイロードとしては高知工科大学の山本真行教授が開発した「インフラサウンドセンサー」が搭載された。こちらは超低周波の音を計測することで、災害対策などに役立つことが期待されている。

なおMOMO2号機は2018年4月の打ち上げが一度決定されたが、直前に空圧バブル系のトラブルが発生し、6月へと延期されていた。

MOMO2号機

Image Credit by 塚本直樹

打ち上げ日の初日となる6月30日は、肌寒い朝から始まった。

最初の打ち上げ時刻は朝5時に設定され、船舶の侵入により予定時刻が5時30分に変更されるなど小さなトラブルはあったものの、インターステラテクノロジズのスタッフは落ち着いた様子だった。個人的にも、ロケットの打ち上げ成功を予感していた。

Image Credit by 塚本直樹

しかし、そんな淡い期待は見事に打ち砕かれてしまった。

ロケットが点火され離床し、数十メートル飛行した直後、なんとロケットは失火し地面へと落下。そして地面に叩きつけられたロケットは爆発音と共に、炎に包まれたのである。

打ち上げ地点はヘリウムタンクの爆発など危険性があり、鎮火後も長時間立ち入ることができなくなった。ただしけが人などが発生しなかったのは、不幸中の幸いであろう。

Image Credit by 塚本直樹

打ち上げ後の記者会見にて、インターステラテクノロジズの稲川社長は「T(打ち上げ時刻)から4秒後に推力が失われた。また点火直後にも一時的な圧力低下が見受けられた」と説明している。このような事例は、過去にも確認できなかったそうだ。

会見に挑んだ稲川社長や堀江氏は、事故詳細はさらなる分析が必要としながらも、今後のロケット開発の前進、およびそのバックアップを継続すると宣言している。なお、「MOMO3号機」の打ち上げ時期などについては明言されなかった。

将来は衛星打ち上げロケットも

Image Credit by 大貫剛

インターステラテクノロジズの大きな目標は、軌道上に人工衛星を投入するためのロケットを開発することだ。

同社は2018年1月に開催されたイベントにて、超小型人工衛星用ロケット「ZERO(コードネーム)」の模型を公開している。このZEROは高度500km以上の低軌道への人工衛星の投入を想定し、2020年以降の打ち上げを目指している。

このような超小型ロケットは、人工衛星を柔軟なスケジュールで目標とする軌道に打ち上げることで、市場での契約獲得を狙うことになる。

インターステラテクノロジズと堀江氏によるロケットが日本の宇宙開発の姿をどう変えるのか、今後が楽しみだ。

塚本直樹

*Discovery認定コントリビューター

IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki

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