Credit : 塚本直樹

レッドブル・エアレースで戦う日本人パイロット「室屋義秀」 ブダペスト大会の軌跡を追う

究極の3次元スポーツとも呼ばれる「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ」の第4戦となるブダペスト大会が、6月23日と24日にハンガリーの首都で開催された。

レースでは世界各国から集った14人のパイロットが技術を競い合う。そして、日本人パイロットの室屋義秀選手も重要なプレーヤーの一人として知られている。

ここでレッドブル・エアレースの魅力と、室屋選手の活躍の軌跡を追ってみよう。
 

究極の3次元スポーツことレッドブル・エアレース

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レッドブル・エアレースではパイロットはプロペラ駆動のアクロバット機に乗り込み、空気で膨らませたパイロンによって設定されたコースを飛行し、そのタイムを競う。コースは陸上のトラックから今回のブダペスト大会のような水上まで、さまざまな場所に設定される。

レース中の機体の飛行速度は最高時速370kmにも達し、またパイロットの体にのしかかる負荷は最大10Gにも達する。これはカーレース「F1」よりも過酷な数値で、まさに選ばれたパイロットのみが挑戦を許される競技なのだ。

レースは2003年から飲料メーカー「レッドブル」の運営のもとスタートし、一度の休止期間を挟んで、2014年からはエンジンとプロペラを統一して再開されている。
 

世界の頂点に立った室屋選手

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日本人として最も気になるのは、2009年からレースに参加した室屋選手だろう。もともとエアショーのパイロットとしてキャリアを積んでいた室屋選手は、上位のマスタークラスで唯一のアジア系パイロットとして、日本でのエアレースやエアショーに対する関心を大きく引き上げてきた。

そして転機となったのは、2017年シーズンでの総合優勝だろう。スポンサーとなるグリーンのファルケンカラーに塗り替えた機体にて、千葉大会を含む年間4勝を記録。見事、シーズンチャンピオンの座を勝ち取った。

福島県福島市に在住する室屋選手は、「福島の復興」についてもたびたび口にしている。今後はベースとしているふくしまスカイパークにて飛行機の楽しさを伝え、さらにはエアレースを福島で開催したいとの夢も持っている。
 

室屋選手、悪夢再び

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練習飛行となる3回のプラクティス、そして予選、本戦とステージが進むレッドブル・エアレース。6月23日〜24日に開催されたブダペスト大会で、室屋選手はプラクティス3で首位、予選を2位で通過した。

決勝戦の初戦となるRound of 14で、室屋選手は今季好調なアメリカのマイケル・グーリアン選手と対峙することになった。そのことをインタビューで質問すると、「誰が相手だろうと、どんなタイムが出ようと飛び方は変わらない」と、落ち着いた様子。レースに集中できていることがうかがえた。

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しかし、室屋選手を待ち受けていたのは悪夢のような結果だった。Round of 14がスタートし、最初のバーティカル・ターンを迎えて機首を起こすと、無情にもDNF(失格)の宣言。これは旋回加速度が12Gを超えると即座に失格になるというルールに触れてしまったからだ。

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結局試合は、チェコのマルティン・ソンカ選手が優勝を飾った。室屋選手は年間シーズンランキングを3位から5位に下げ、昨年に連なる連覇への道のりが遠のいたのも事実だ。8月にロシアで開催される第5戦カザンまでに、どのようにしてG(加速度)の感覚を修正してくるのか、今後が注目される。
 

塚本直樹

*Discovery認定コントリビューター

IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki

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