空耳が起こる仕組みが解明…曖昧な音を予測で誤認識

「感じる」を「カニ汁」と間違って聞き取ってしまった…知らない外国語の歌だけど日本語に聞こえる…そんな「空耳」の原理を神経科学の観点から解明する研究が行われた。それによれば空耳の原因は脳の左上側頭溝にあったようだ。

 

空に口づけ?男に口づけ?

休憩所が6階の風呂屋にあると言われたと思ったが、実際には6階「フロア」だった…などといった何気ないものから、仕事上の深刻なミスに繋がってしまうこともある「聞き間違い」。はたまた、音楽グループO-Zoneの「恋のマイアヒ」(Dragostea Din Tei)などに代表されるような、日本語に空耳してしまう外国語まで、その原因は脳の思い込みにあるとされている。つまり、脳が聞こえた音を自分が予期する内容として聞き取ろうとするために生じるというのだ。

Seekerではこの例としてジミ・ヘンドリックスの「パープル・ヘイズ(紫のけむり)」という曲中の歌詞、「while I kiss the sky」(私が空に口づけする間)という部分が、よく「while I kiss this guy」(私がこの男に口づけする間)と聞き間違えられることが挙げられている。なぜなら「空に口づけする」よりも「この男に口づけする」方が脳にとってあり得そうな概念であるため、脳にとって想定内の「男に口づけ」と空耳してしまうのだ。

 

空耳の仕組み

Credit: Lefevre J, Mangin J-F, CC BY 2.5

JNeurosciで6月11日に発表された研究では、この仕組みが解明されている。研究ではfMRIが用いられ、被験者は文字情報としての単語と、劣化した音声を再生し、神経反応を調べた。書かれた単語と音声は、同一である場合、明らかに異なる場合、そして音として似ている場合が試された。

その結果、先に見た文字情報に続き、音が似ているが異なる単語の音を聞いた場合、間違って認識することが判った。例えば「kick」(蹴る)という文字を見た後に「pick」(選び取る)という音を流した場合などだ。

fMRIでは、この間違いが起こるとき、音声処理に関わる脳の部位である左上側頭溝の活動があまり活発でないことが判明。生きる上で役に立つ事前予測という機能が、音がはっきりしていないなど感覚信号が劣化した状態の時に誤認識してしまうことに繋がるという神経メカニズムが特定された。

つまり脳は曖昧な口語音を耳にしたときに、過去の経験からの予測を元にそれを読み取ろうとし、それが空耳してしまう原因となるのだ。