ティラノサウルスの舌は雄叫びと共に揺れない?…恐竜の舌骨研究で判明

雄叫びを上げるティラノサウルス、その口の中には舌が踊る…そんな映画で見た光景は、どうやら間違っていたようだ。恐竜の舌の構造は、舌を口から出すことができないワニの構造に似ていると研究で判明した。

 

恐竜の舌骨と近いのは

映画で描かれるようなティラノサウルスやその他の恐竜たちの舌の描写は間違っている可能性がある。そんな研究結果がPLOS ONEで6月20日に発表された。

化石となった恐竜たちには、柔らかな組織が残っていることは希なので、恐竜の持っていた舌について直接知ることは難しい。そのため研究者たちは、舌の付け根を固定し支持する「舌骨」という骨に注目。恐竜の舌骨と、鳥やワニ目などの恐竜に最も近い今も生きる生物の舌骨を比較した。

そうしたところ、現代の鳥の舌は動きの自由度も非常に様々であると共に、その舌骨は恐竜のものよりも複雑な構造をしていた。しかしワニ目の舌骨と恐竜の舌骨とは二本の短い棒からなる単純な構造であり、類似性が見られた。これらのことから恐竜の舌はアリゲーターやクロコダイルのように舌が口の下部に引っ付いていたと考えることができるとの結論に至った。

 

舌の出せない恐竜

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ワニの舌は下顎に引っ付いたようになっている。だが、現代のトカゲは口を開けて舌を突き出すことが可能だ。論文の共同執筆者であるテキサス大学オースティン校の古脊椎動物学教授、ジュリア・クラーク(Julia Clarke)がLiveScienceに語るところによれば、恐竜に最も近い生物は鳥やワニだということは昔から確立されたことではあったが、恐竜を巨大なトカゲだと考える誤った認識のせいもあり、これまで恐竜の舌の描写がトカゲのそれのようだったのではないかとしている。

また研究では鳥の舌骨と翼竜の舌骨にも類似性が見いだされている。しかし鳥類は恐竜から進化したものだが、翼竜は恐竜と異なる主竜類系統なので、近い親戚とは言えない。にもかかわらずこのどちらも空を飛ぶ生物が類似した舌骨を持っていたのは興味深い発見だ。研究者たちは、空を飛ぶことにより地上とは別の食べ物に適応することにより別々にこのように進化していった可能性があるとしている。

恐竜は獲物をペロペロ舐め回したりすることはできず、ワニ目と同じく舌を動かさず、獲物は噛んだら飲み込む、という食べ方をしていたと考えられると判った今回の研究。もうじき日本でも映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が公開されるが、将来の恐竜映画では舌の表現が変わるだろうか?