地上の火星でテスト中、地面を掘って生物痕跡を探すARADSローバー

空には天の川、遠方には輝く星が顔を覗かせている。まるで火星かのようなこのエキゾチックな環境に佇むのは、ARADSローバー。「地上の火星」とも言われるチリの砂漠でテストを行っている。

 

アタカマ砂漠のARADS

NASAのARADSローバーは、正式名称を「アタカマ・ローバー・宇宙生物学掘削研究」(Atacama Rover Astrobiology Drilling Studies)と言う。大きさは、すでに火星に居るスピリットや(砂嵐で休眠状態に陥った)オポチュニティと同じくらいのローバーだ。

名前についている「アタカマ」はチリのアタカマ砂漠のこと。研究チームは、地球上で最も火星に近い環境とされるこの砂漠でプロトタイプローバーの実験を行っているのだ。アタカマ砂漠は火星よりはずっと温度が高いものの、10年に1cmの雨量しかないという過酷な環境。この砂漠の乾燥した環境は1000から1500万年以上続いていると考えられており、生物が居るとしたら地中か岩の中の微生物くらいなものだとされるのだ。

 

生命を探して

Credit: NASA/CampoAlto/V. Robles

名前に「宇宙生物学」とついていることからも判るとおり、このローバーは火星で生きた微生物や化石化した生物の痕跡を探すためのものだ。ARADSに備わった掘削ドリルは岩の層を貫き地中2m下まで掘り、サンプルを回収することができる。回収されたサンプルは、搭載された機器に入れられ、その場で生化学分析が行われる。

2017年のテストでは、ARADSは無事に掘削を行うことができた。今年のテストでは、備わった機器で回収したサンプルから生物痕跡を検出するテストを行っており、2019年初めまで続く予定。ARADSのテストは、火星でのこのようなミッションが技術的に実現可能かどうかなどをデモンストレーションすることを目的としたものだ。

なお今回のトップ写真は2017年のテスト時に撮影されたもので、アタカマ砂漠に月が昇ろうとしているのと同時に、空には天の川が見えていたシーンだ。