Credit : Los Angeles Public Library, Public Domain

ビクトリア時代の自転車で走行距離を競う競技、127年ぶりに英記録更新

後輪と比べ前輪がとても大きい「ペニー・ファージング」と呼ばれるレトロ自転車の競技で、127年ぶりに記録が塗り替えられた。

 

世界記録サイクリストが挑む

スコットランド人のマーク・ボーモント(Mark Beaumont)は、昨年79日間で自転車で世界一周し、「自転車による最もはやい世界一周」のギネス記録を達成したサイクリストだ。そんな彼が、ロンドンの自転車競技場ハーン・ヒル・ベロドロームで1891年に打ち立てられて以降誰にも破られたことのなかった記録を更新した。

それは「ペニー・ファージング」と呼ばれる自転車での1時間の走行距離記録だ。

 

ペニー・ファージング

ペニー・ファージングは1880年代に流行った自転車のタイプで、巨大な前輪と比較してとても小さな後輪とを1ペニー硬貨と1ファージング硬貨の大きさの違いに例えたのがこの愛称の由来とされる。ロンドンで2013年に設立されたペニー・ファージング愛好家のクラブPenny Farthing Clubによれば、その流行は短いものであったが、ペニー・ファージングはビクトリア朝後期のシンボルであると共に、スポーツとしてのサイクリングの誕生期に存在した自転車であるとしている。

現代の一般的な自転車のようにギアやチェーンは無く、巨大な前輪に直接ペダルがついている。巨大な前輪を直接漕ぐことで、一漕ぎで長距離を高スピードで移動できるのが特徴ではあるが、そのために座高は高く、地に足がつかないという欠点もある。タイヤは空気が入ったタイヤではなく、振動が伝わるし、それだけでなく、ブレーキもないため、意外と危険な乗り物なのだ。

 

Credit: Cabinet card c.1880, Public Domain

そんなペニー・ファージングに乗り、127年前に記録が作られた同じサーキットで1時間走り続けた。BBCのインタビューに応えるボーモントは、この自転車の乗り心地を「とても痛い」と評している。それでも彼は1時間に35.3km走り、33.7kmであった127年前の記録を塗り替えたのだ。

だが、今回更新されたのはイギリスでのペニー・ファージング記録だ。1886年に、アメリカ人のウィリアム・A・ロウ(William A. Rowe)が1時間に35.5km走ったのがペニー・ファージングの世界記録となる。

「とても痛い」この自転車の記録が今まで塗り替えられてこなかったのには理由があるのだろうが、果たして世界記録が破られる日は来るのだろうか?

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