Credit : 2018 Cho et al. via PLOS One

いざ新天地へ!蜘蛛が空飛ぶバルーニング

蜘蛛の中には、ただ壁を這い上ったり天井からぶら下がったりするだけでなく、空を飛ぶものもいる。「バルーニング」と呼ばれるこの行動が研究され、新たな事実が判明した。

 

スパイダーマンのように?

高層ビルの間に糸を飛ばし、軽やかにスイングして移動するコミック『スパイダーマン』のように…とまではいかないが、実際の蜘蛛たちも糸と風を使って長距離を移動する。これは「バルーニング」(ballooning)と呼ばれる。

特に若い蜘蛛に見られるバルーニングでは、蜘蛛は糸疣から糸を出して、糸が風に吹かれて飛んでいくのに便乗して飛ぶ。こうすることで蜘蛛は長距離を移動して新天地で餌やつがいを探すのだ。

バルーニングに関する研究はこれまでにも無かったわけではないが、蜘蛛が糸を使ってバルーニングをする方法を測定したのはベルリン工科大学の今回の研究が初めてだ。ムンスン・チョウ(Moonsung Cho)らによるこの研究では、カニグモ科の「Xysticus spp.」の成体と亜成体が用いられ、野外観察と風洞実験が行われた。この蜘蛛は5mmほどの大きさで、25mgの重さというとても小さなものだ。

 

飛ぶ前に風速を測る

PLOS Biologyに6月14日に発表されたこの研究では蜘蛛のバルーニングについて様々なことが判った。

これまでバルーニングを行う蜘蛛は風の様子を感覚毛を使って感じ取ると考えられていたのだが、今回の観察からは、これらの蜘蛛は飛び立つ前に足を上げて風速を調べることが判明した。もし風速が秒速3m以下であれば、その後つま先立ちのような動きを見せる。つま先立ちの工程を経ない限りは、腹部を突き上げ糸を放ちバルーニングする事はないのだそうだ。

蜘蛛の腹部にある糸疣には数百の出糸管があり、それぞれの出糸管からは320ナノメートル以下の厚さの糸が出るのだが、飛ぶためには自身の大きさに見合った数の糸を出さないとも判明している。若く小さな蜘蛛だと数本の糸筋を出せば飛べるが、大きな蜘蛛の場合は50から60本の糸を出さなければ飛べないのだ。

なお、バルーニングで向かう先は風のみぞ知る状態で、多くの蜘蛛にとってはそれが最後の旅となってしまうこともあるとのことだ。

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