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体に良くないのはホント?プールの塩素を徹底検証

プールの季節がやってくる。子どもたちの歓声とともに夏風に運ばれてくるのは、まぎれもない塩素のツンとした匂いだ。消毒剤として不可欠な反面、発がん性が疑われて近年ちょっと騒がれている塩素。その安全性をあらためて検証してみよう。

 

塩素は発がん性物質?

結論から言えば、塩素消毒されたプールに入る程度では問題ないようだ。国際がん研究機関、米保健福祉省と環境保護庁は今のところ塩素を発がん性物質と認めていない。

Live Scienceによれば、事の発端は1992年に発表された研究で、塩素消毒された飲み水は膀胱がんの発症リスクを21%、直腸がんの発症リスクを38%高めるとした。

2010年には学術誌『Environmental Health Perspectives』が塩素消毒されたプールも同様にがんの発症リスクを高めると発表したが、こちらは同誌が新たに2017年に掲載した論文により根拠がなかったと否定されたばかりだ。

 

塩素による症状と対処法

プールには塩素系の消毒剤を入れておかないと病原性大腸菌が繁殖してしまい、別の意味で人体に悪影響を及ぼしかねない。通常はプールの水の総量に対して2~4ppm(百万分の1)と、ごくわずかな塩素しか含まれていない。

それ以上の濃度の塩素に長時間浸り続けると、肌荒れ、目のかゆみや腫れ、髪がパサパサするなどの症状が出る。極端な場合はカラーリングした髪が緑っぽく変色するらしいので要注意だ。

アナ・デュアルテ医師がLive Scienceに語った対処法は以下だ。塩素は皮膚と髪から油分を奪うので、髪に少量のオイルを絡ませてからスイミングキャップを着用するといい。プールから上がったらまず水で塩素を洗い流し、保湿クリームで肌をいたわる。セラミド配合のクリームが特におすすめだそうだ。

ごく稀に塩素濃度が高いプールの水面から塩素が蒸発し、ぜんそくの発作を引き起こすこともあるそうなので、塩素消毒剤を投入した直後の入水は控えよう。また、目との接触を控えるためには水中メガネを必ず着用しよう。

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プールの刺激臭は塩素じゃない

ところで冒頭で書いたツンと鼻をつくあの塩素臭。あれは厳密にいえば塩素ではなくトリクロラミン(Trichloramine)といい、塩素が水中に漂っているオシッコや汗に含まれる尿素と化合した物質だ。ということは、この匂いがキツいプールにはそれだけの量のオシッコが含まれていると考えていい。

余談だが、Live Scienceがまとめたところによれば、5人中1人が「プール内でオシッコをしたことがあるか」という問いにYESと答え、さらにオリンピック競技選手に限ってはほぼ100%がYESと答えたそうだ…。

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昔は毒ガス兵器だった?

塩素は気体として自然界に存在し、人間が吸い込むと気管を傷つけ肺水腫にいたる。第一次世界大戦中は化学兵器として使われた恐ろしい過去を持つ。

でもプールで本当に危険なものは塩素ではなく水難事故だ。デュアルテ医師は、小さな子どもから目を離さないこと、直射日光にあたらせ続けないことなどを強調している。温暖化とオゾン層破壊が進むなか、日焼け止めクリームもかかせない。

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