伝染るかもしれない「ホテル・インフルエンザ」、あなたなら泊まる?

およそ10日間インフルエンザウィルスまみれの宿泊施設で過ごせば謝礼金38万円をもらえる。そんな人体研究に、あなたならチャレンジしてみたいだろうか?

条件は決して悪くない。ホテル並みの個室にプライベートバス、レクリエーションルーム、軽く汗を流せるトレーニングルーム完備で、インターネットも使い放題。三度の食事はケータリングサービスで提供され、部屋からの眺めもなかなか…とはいうものの、もちろんインフルエンザに罹るかもしれない覚悟が必要だ。

Credit: Saint Louis University

米セントルイス大学のワクチン開発研究所は、新しいインフルエンザワクチンの効果を試すために長期滞在研究ユニット、別名「ホテル・インフルエンザ」を開設したと発表した。

「ホテル・インフルエンザ」ではあらゆるインフルエンザウィルスの型に対抗できる万能ワクチンの開発が進められるそうだ。これまでのインフルエンザワクチンは「A型」や「B型」など特定の菌株にしか対抗できなかった。せっかく予防接種を受けても、あてが外れたらまったく効果がなかったのだが、インフルエンザ万能ワクチンが完成すればこれ一本であらゆる型のインフルエンザに対抗できて、大流行も防げる。

人体チャレンジ研究では参加者はまず新型ワクチンかプラシーボ(ワクチンに見せかけた偽薬)のどちらかを受けてから、「ホテル・インフルエンザ」で故意にインフルエンザウィルスにさらされる。もしもインフルエンザに感染してしまっても、看護師が常駐しているので即座にケアを受けられて安心。ただし、完治してからしかホテル・インフルエンザを出られないため、感染しなかった人よりも2日ほど長い滞在となるそうだ。

従来のワクチン研究では、まず参加者にワクチンを受けてもらってからウィルスに感染するのを待ち、その際免疫システムが正常に抗体を作り出せるかどうかを調べる。感染するタイミングは自然まかせなので、たいへんな時間とコストがかかってしまう。

それに比べて「ホテル・インフルエンザ」の人体チャレンジ研究では、ワクチンを受けた参加者にわざと感染源と接触させるため、いつ感染したかがはっきりとわかり、免疫システムがウィルスと戦う様子をより細やかに観察できるようになるのだ。

Credit: Ellen Hutti / Saint Louis University

加えて「従来の臨床実験より参加者が少なくてすむのと、低コストであるのに関わらず感染についての多くの情報をより速く得られる」方法だとワクチン開発研究所所長のダニエル・ホフト教授はセントルイス大学のプレスリリースで語っている。今後6カ月以内に小規模のパイロット・スタディーを行う予定だそうだ。

Live Scienceによれば、先月も別の研究機関で同様の人体チャレンジ研究が行われ、大腸菌を混ぜた水を飲んで下痢になるかどうかを調べたそうだ。個人的には、こちらはどんなに謝礼をもらえたとしてもちょっとご遠慮させていただきたい。

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