宇宙進出する知的生命体は他の星の文明を滅ぼしてしまう?…フェルミのパラドックスに新説

地球外知的生命体が地球に来ていないように思えるが、もしかしたらそのような存在は他の知的生命体を知らず知らずのうちに抹消してしまうのではないか…そんな説が理論物理学者により出された。もしかしたらそのような生命体には私たちは虫けらのように滅ぼされてしまうかもしれないし、もしかすると我々が同じようにほかの生命体を滅ぼす可能性だってあるのだ。

 

フェルミのパラドックス

地球に似た生命を養うことの太陽系外惑星が600億はあるだろうとされているなかで、何故我々は未だ地球外生命体にお目に掛かっていないのだろうか?地球は宇宙の中で比較的若い星系に属すため、もしも文明をもった生命体が他にいるのであれば、すでに地球を訪れていてもおかしくない…しかし実際には地球にそのような来訪者は未だいないようだ…これは、約70年前にイタリアの物理学者エンリコ・フェルミが考え出した「フェルミのパラドックス」。

このフェルミのパラドックスに対する理由としては、「海中に住んでいて宇宙進出してない」「宇宙旅行に時間が掛かるから(まだ)地球まで来ていない」「地球に興味ない」「宇宙人たちは皆もう死んでいる」「我々こそが彗星に乗って地球にやってきた宇宙人だ」など様々な理由がこれまでに考え出されている。

そんななか、ロシア国立電子技術大学MIETの理論物理学者アレキサンドル・ベレージン(Alexander Berezin)がこのパラドックスに対する新たな答えを提示した。

 

建築現場の蟻塚のように…

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フェルミのパラドックスで想定される宇宙人は、人間が発見することのできる存在であり、宇宙旅行が可能であるか、少なくともメッセージを宇宙に向けて発信できるものであるはずだ。しかしその文明がそのように進化し、他の星を目指し文明の範囲を拡大していこうとするのであれば、より「劣った」生命体を踏み台にし、範囲拡大の燃料とするのではないか、というのがベレージンの考えだ。

星間旅行が可能になる最初の生命体は、その範囲拡大を可能にするために、その競合相手となりうる存在を抹消してしまうのではないか?というこの考え、しかしだからといってその生命体は銀河を支配するために他の生物を虐殺するという意味ではない。

ベレージンの書くところによれば、これは高度に進化した文明が意図的に他の生命を全滅させるということではない。ベレージン曰く、一番あり得るであろうのは、「建設作業員たちが不動産を建てる際に蟻塚を破壊するのと同じように」、それを保護するというインセンティブを欠くため、ただ気づくことなく破壊してしまうことだという。例えばある文明の作ったAIが反乱して、そして「それが可能であるから」、という以外に理由もなく、何の制約もなしに自らをクローンしてその勢力を拡大し続け、全ての太陽系をスーパーコンピューターにする状況などが例として挙げられている。

宇宙進出する初めての知的生命体が我々人類である可能性もあり、もしかしたらこの説のように宇宙に進出するに伴って、知らず知らずのうちに他の知的生命体を滅ぼし去ってしまう可能性があるというわけだ。この説はあくまでも地球外の知的生命体に関するものであるが、地球内の生命体に対する我々人類の扱い方からすると、十分起こりえそうに思えてくる。

この説は現在ピアレビュー前の段階のものがCornell University Libraryで読むことが可能だ。なおベレージン自身も自らの説に対して「自分が間違っていることを願いたい」としている。