Credit : Creative Commons

人類初の鉛汚染は5600年前…バルカン半島で見つかった最古の冶金汚染

「汚染」というと18世紀後半の産業革命や、1950、60年代の日本の公害を思い浮かべる方が多いかもしれない。しかし5600年前にバルカン半島に住んでいた人々も実は汚染を生み出していた。これまで知られるなかで人類初の冶金とそれに伴う鉛汚染だ。

 

最古の鉛汚染

ノーザンブリア大学、モンペリエ大学、ルーマニアアカデミーらによる研究では、バルカン半島のセルビアとモンテネグロの国境の泥炭地が調べられた。泥炭地の堆積物からは、青銅器時代である紀元前約3600年の鉛による金属汚染の証拠が発見された。この泥炭地からは鉛の量と比例して木炭も検出されており、これは鉄精錬に伴いバイオマスが燃焼されたためだと考えられる。

これまでもヨーロッパの鉱物資源の利用と金属の加工に関してはバルカン半島がその発祥の地とされていた。しかしバルカン半島での冶金の歴史に関しては考古学的発見がなかったことなどからこれまでよくわかっておらず、世界最初の冶金はヨーロッパ西部で行われたと考えられていた。しかし今回の証拠からはヨーロッパの南東のバルカン半島での冶金の方が当初思われていたよりも500年は古いことが判明した。

なお西ヨーロッパではローマ帝国の崩壊後に鉛汚染が激減していることが確認されているが、バルカン地域ではこの暗黒時代の影響は強くなかったようだ。ビザンチン帝国かにあったバルカン地域はこの間も鉱物の産出が盛んであり、西ヨーロッパの暗黒時代中に大きく経済発展を遂げている。

 

汚染から判る歴史

Credit: Creative Commons

このように、過去の汚染からは人間の活動が読み取れるのだ。ZME Scienceは例として、これまでにグリーンランドの氷床コアサンプルから紀元前1100年から期限800年の鉛汚染状況を読み取ることにより、当時のローマ帝国の盛衰の様子が判ることを挙げている。もしかしたらはるか遠い未来の人々は、現代我々が生み出した地球の汚染を見て当時の生活を思い描くのかもしれない。

なお今回の鉛汚染の研究はPNASで5月29日に発表されている。

RELATED POST