ゴキブリの分泌液が代替牛乳になるかも…環境に優しく栄養価も高い「ゴキ乳」

タンパク質も脂肪も糖分も豊富な他、必須アミノ酸も全て揃った最新スーパーフード。それはなんと、ゴキブリの「乳」だ。

 

ゴキブリの乳?

とは言ってもゴキブリが実際に母乳を出すわけではない。ある種のゴキブリは、子供を育てるための液状の分泌物を出し、これが便宜上「ゴキ乳」と呼ばれているわけだ。だが子育てのため液状分泌物である以上に、これが「乳」と呼ばれる所以はもう一つある。これは牛乳と比べて3倍もの栄養を含んでいるのだ。

このゴキ乳を出すゴキブリは「Diploptera punctata」というゴキブリ。「太平洋の甲虫ゴキブリ」(Pacific Beetle cockroach)の異名を持ち、その名の通りぱっと見は我々のよく知るゴキブリよりかは茶色い玉虫と言った雰囲気の甲虫に見えるものだ。そしてなんとこのゴキブリは「胎生」のゴキブリだ。

 

胎生のゴキブリ?

人間は母体内の胎児に栄養を与える「胎生」、一般的なゴキブリは栄養を卵の中に入れて体外に出し、卵の中で胎児が育つ「卵生」。「Rhyparobia maderae」など一部のゴキブリはその中間的な、体内で卵が孵化するタイプのものがおり、これは「卵胎生」と呼ばれる。しかし2016年にこの研究をIUCrJに発表した研究者らによれば「Diploptera punctata」は現在知られる中で唯一の「胎生」のゴキブリなのだ。

このゴキブリの卵は卵黄をほぼ含まず、その代わりに母親の育児嚢の壁から直接栄養が与えられるよう進化している。これにより幼虫の発育が促進され繁殖成熟までの時間が卵胎生のゴキブリよりも短くなっているのだ。

そしてゴキ乳はこの胎児の中に詰まっている。これを取り出すには胎児を切り裂かないといけないのだが、そうすると栄養素の高いキラキラと輝く乳結晶がでてくるのだ。

 

環境に優しいゴキ乳アイス

栄養分豊富なこのゴキ乳を食用に、というアイデアは、これが優れた栄養価を持つという意外にも利点がある。牛乳を生産するために穀物を牛に与えることや、成長に伴うグリーンハウスガスの発生や水の使用環境フットプリントからは、環境への影響が指摘され、食肉に対する「昆虫食」と同じく、牛乳に変わる「大豆ミルク」、「オート・ミルク」などの代理牛乳が登場する要因ともなっている。また、牛乳を生産するためには、乳牛は妊娠、出産しなければならず、一番効率的に牛乳を生産するためには連続して妊娠させることとなり、このことは動物愛護の観点からも批判される。

ZME Scienceによれば、現在南アフリカのアイスクリーム会社Gourmet Grubは、このゴキブリをサステナブルな環境で育て、「エントミルク」(Entomilk、「昆虫食」を意味する「entomophagy」と「乳」を意味する「milk」からきている)としてゴキ乳を使ったアイスクリームを作ろうとしている。

それでも実際にゴキ乳を食用に使うに至るまでには人間が食べるに安全かどうかをもっと研究しなければならないとのこと。ゴキ乳を実際に口にできるのはまだ暫く先のようだ。