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地球外知的生命体からメッセージが届いたら…人類は果たしてそれを解読できるか?

地球外知的生命体からメッセージが届いたら、人々は専門の枠を超えてできるだけ多くの人が協力してその意味を理解すべきだと言語学者が語る。しかし、果たして人類にそれは可能だろうか?

 

宇宙からのメッセージを解読できるか

もしも地球外からメッセージが届いたら…そうしたら言語学者、数学者、科学者らによる努力だけでは不十分だろう。そうLiveScienceに語るのは、オハイオ州のボーリング・グリーン大学の言語学者で、地球外と交信することを目指した分野の違いを超えた研究を促進しようという情報機関「METI」理事会メンバーのシェリ・ウェルス=イェンセン(Sheri Wells-Jensen)だ。もしメッセージが届けば全ての人が総力を挙げてそのメッセージに複数の意味合いを見いだす必要がある、とウェルス=イェンセンは語る。

彼女はとある人工言語を用いたパズルを大学生に提示し、そこから意味を読み取らせる実験をした。パズルでは円周率がコード化されて表されており、学生はそこからその現実世界での意味を読み取るという実験を行っている。学生たちは「世界」、「無限」などの回答や、閉じられた円であることから「牢獄」であると回答したものもいた。

もちろん例え地球外から円周率を表したメッセージが送られてきて、人類がその送り主の意図した回答を考えついたとしても、その正誤が判断できるのは相互にコミュニケーションをとって行った後のことであり、それが可能になるまでは数多くの間違った回答と共に待つしか無い。

加えて、それがメッセージの表すものの表面的な読み取りとして正しかったとしても、それが真意であるかどうかはまた別の話だ。例えば人間の言語で例えるとすれば、「お皿があります」と述べた際に示されているのは「皿」の存在ではなく「皿の上に何も無い」ことを示している可能性もあれば、「何故ここに皿が置かれているのか」を尋ねる意図であったり、「皿はここにあるべきでは無い」という主張である可能性もある。また、ここで示されているのが一つの円周率だけでなく、それが文脈と共に提示されていたとしても、このメッセージを放った者の全く得体の知れない文化を理解することなしに意味を把握することはできないだろう。

しかし、だからこそ人類の想像力と発想を集結してメッセージ解読にあたるべきなのだ。だが、果たして宇宙から我々にメッセージは送られてくるだろうか?

 

宇宙に送ったメッセージは誰かに受け取ってもらえたか

もちろん人類は指をくわえて地球外からメッセージが来るのを待っているわけではない。ドイツの数学者ハンス・フロイデンタール博士は地球外知的生命体に理解されるよう1960年に人工言語「Lincos」を作り出した(前述のパズルにはこれが用いられている)。1999年にはウクライナの電波望遠鏡からLincosで記されたメッセージ「Evaptoria Messages」が送られている。「Evaptoria Messages」ではまず数の数え方から始まり、幾何学、物理学、太陽系、人類についてなどが書かれている。

このほかにも1974年に放たれた電波メッセージ「アレシボ・メッセージ」や、宇宙探査機パイオニアに搭載された地球の情報と二次元の絵の人物像の金属板などもある。だがどれも人類が送ったメッセージは人類中心的なコミュニケーション体系が文化も進化の過程も違う知性に理解されるという希望的憶測に基づき宇宙に投げやっただけのものに過ぎない。

もしかしたら、すでに地球外知的生命体から送られてきているメッセージが我々が予測するメッセージ手段と違うために気づかれてすらいない可能性もあれば、同じく我々が放ったメッセージが誰にも気づかれていない可能性もある。例え幸運にも知的生命体がそれを受け取ったとしてもその読み取り方が我々の意図したものと違う可能性もあれば、意図を読み取り意図的にコミュニケーションを取らないでいる可能性だって存在する。

 

地球外知的生命体の言語を理解するには

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もちろんMETIのような分野の垣根を越えた協力による言語解析研究は重要であろうが、地球の生命と全く違った生命、もしくは我々の持つ生命の枠に入らない可能性のある地球外文明の言語を分析できる力を我々が持つのであれば、地球内の他の生命体の言語こそすでに理解されているべきであろう。人の身近に太古から存在しており、音を利用したコミュニケーションをとっているように見えるにもかかわらず未だ人間がその「言語」を理解できていないイヌ。ウェルス=イェンセンも人間の言語と共に十分な複雑性を持つ可能性があるとしているクジラの「言語」、さらには植物のコミュニケーションについてだって未だに十分わかっていないのだ。

現在は、視覚言語、音声言語のみならず表情やボディーランゲージまでをも用いた人間同士のコミュニケーションでも勘違いが起きる状況だ。人類の基準とする「知性」を持たない生物の言語を理解することもできない状況で、更に高等な生物の言語を理解しようとすることに疑問がわかなくもない。願わくばMETIの分野の垣根を越えた活動が、未だ見ず知らずの地球外生命体も視野に入れつつ、まずは地球内の生物のコミュニケーションについても理解を深められるよう期待したい。

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