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一番いいオフィスの温度設定とは?研究者が語る、性別で異なる夏の室内最適温度

暑い夏、どこのオフィスも冷房が効いていて、涼しいと思う人もいれば、寒いと思う人も、はたまたまだまだ暑いじゃないか、と感じる人もいるだろう。何故一部の人は寒く感じて、一部の人はそう感じないのかをPopular Scienceが解説している。

 

最適室温の男女差

アメリカ陸軍環境医学研究所(USARIEM)の研究生理学者ジョン・カステラーニ(John Castellani)が、女性と男性の体の違いについて述べている。それによれば、平均して女性の方が体脂肪が男性より多く、これが断熱材の役割を果たすため、女性の方が皮膚温度が少し低いのだそうだ。

また、オランダのマーストリヒト大学病院の生理学者マルケン・リヒテンベルト(Marken Lichtenbelt)は女性の代謝の方が低いことも指摘している。リヒテンベルトらが Nature Climate Changeに2015年に発表した研究では、一般的に人々が心地よく過ごせる室内環境モデルが構築される際に、女性の代謝に関して考慮されていないことが指摘されている。それによれば、女性は25度の平均室温を好むのに対し、男性は22度を好むとのことだ。

なおアメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)による室内環境基準には男女の代謝率の差も考慮に入れられており、夏の間の室温は22.7度から26.1度を推薦している一方で、実際のオフィスの温度はそれを下回ることが多いとのことだ。ただし、この基準の作成にも関わったASHRAEのビャールネ・オルセン(Bjarne Olesen)によれば、代謝は男女の性差よりも個人の差の方がよっぽど大きいとのことだ。

 

夏に快適に働くために

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また、夏の間人の体は汗がよりでやすい状態になることで暑さに対応し、逆に冬の間は顔や手などにより血液が送り込まれ、肌を温めるようになっている。カステラーニによれば、季節の変化に体が対応するには数日かかり、その際に温度の感じ方も変わるという。寒い環境で日々働けば慣れる事もできるが、「慣れる」事のできる温度にも限界があり、リヒテンベルトによればオフィスの設定温度は女性の体が慣れる事のできる温度を下回っているとも指摘している。

オフィスの冷房温度が低すぎない状態であることが一番良いのだが、人が心地よく感じる温度は結局はこれまで述べてきた性差などよりも、個人個人の身長体重、体格、代謝、着ている服にも左右されるものだ。Popular Scienceでは、冷房温度を低くしすぎないためには特に男性に対する服装規制の緩和が望まれるとして、その例として日本でのクールビズの取り組みを紹介している。

冷房の設定温度のせいで室内にいる人が寒すぎると感じたり、熱すぎると感じるのも問題ではあるが、冷房を使うことによる環境への影響も忘れてはならない。カルフォルニア大学バークレー校の建築准教授ステファノ・スキアヴォーン(Stefano Schiavon)は、指定温度より温度が低い場合はよりエネルギー効率の良い扇風機を用い、温度がそれ以上になった場合に冷房をつける様にした方がよいだろうとPopular Scienceで指摘している。

ただし、オフィスでのコミュニケーションも忘れてはならない。皆が思うより多くの人がオフィスの冷房設定温度を寒いと思っている可能性だってあるのだから。

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