雷の謎に迫る観測機ストームハンター、国際宇宙ステーションで活動開始

パチパチと目まぐるしく光る分厚い雷雲。ずっと見ていると目が回りそうだ…。

Credit: ESA

こちらは国際宇宙ステーション(ISS)から捉えた雷雲の画像。放電が放つ光が分厚い雲を突き抜けて大気圏の上層部まで到達し、宇宙からもはっきり見えている。4月の夜にインドネシア上空400キロメートルの地点から写された。

ISSに新たに設置されたESA主導の観測機「Atmosphere-Space Interactions Monitor (ASIM)」、通称「ストームハンター」が始動後初めて送ってきたデータの一部だ。

国際宇宙ステーション「コロンバス」に接続されたストームハンター Credit: ESA

通常の数百倍も感度が高いカメラと光度計が搭載され、ガンマ線とX線を検知できるストームハンターには、重要な使命がある。雷の謎を解き明かすことだ。

宇宙にいちばん近い花火

雷は自然の驚異。最強の生物でさえ雷に打たれればひとたまりもない。一般的に私たちが「雷」と呼ぶものは雷雲から下に向かって放電されるタイプだが、雷雲から上に向かって放電される「一時的発光現象(Transient Luminous Event, TLE)」もある。

Credits: DTU Space, NASA

TLEは超高層雷放電とも呼ばれ、高度20~100kmの大気圏上部で繰り広げられる光のスペクタクルだ。燃えるマグマのごとく噴き上げるスプライト、間欠泉のように突如と噴出するブルージェット、大気圏の最上部に円盤状に広がるエルブ…なんだかネーミングすらファンタジックだ。

1920年代にノーベル賞受賞者のC.T.R.ウィルソン博士がTLEの存在を予見したものの、長い間誰も見つけることができなかった。1990年に初めてスプライトが確認されたのを皮切りに、徐々ににTLEの姿が明らかになってきている。2015年にESAの宇宙飛行士、アンドレアス・モーゲンセンが映したスプライトとブルージェットはその美しさに目を奪われる。

ストームハンターの出番

どのように発生するか、またどのように大気圏に影響を及ぼすのかなど、TLEにはまだ解明されていないことがたくさんあるが、その理由の一つに観測の難しさがある。地上からは雲が邪魔をして直接観測できないし、観測用バルーンを飛ばしても高さが及ばず、気象衛星から見るには低すぎる。このジレンマを解消してくれるのがストームハンターというわけだ。

冒頭のパチパチする映像はほんの序の口だと話すのはストームハンタープロジェクトを指揮するESAのトルステン・ニューバート氏。「今後もっとエキサイティングな発見に期待してほしい。ストームハンターの視覚データとガンマ線の測定相互関係を明らかにすることで、TLEの謎にせまっていく」予定だそうだ。今後2年間活動を続け、TLEのほかに地上ガンマ線バーストについても調べていく。

TLEに魅せられた方にはこちらのNASAの映像もおすすめだ。ちょっと長めだが、ぜひご覧になってほしい。私たちが地球について知らないことはこんなにもたくさんあって、こんなにも美しいなんて。