卵を産む哺乳類ハリモグラはどうやって地中で呼吸している?

ハリモグラという動物をご存じだろうか?卵を産む哺乳類という変わった生き物だが、穴を掘って隠れたりすることでも知られる。でも穴を掘っているときに窒息しないのだろうか?地中での呼吸を可能にするその体の秘密を紹介しよう。

 

ハリモグラ

ハリモグラ科はオーストラリアやニューギニアに生息する単孔目(Monotremata)の哺乳類だ。同じ「ハリ」のつく哺乳類でも真無盲腸目のハリネズミとは違うものだ。

爬虫類や鳥類と同じく、生殖管や糞尿の管が一つの穴へ接続されているという総排出口腔を持つ単孔類の哺乳類としては、同じ目に属するカモノハシもおり、ハリモグラもカモノハシも哺乳類ではあるが卵を産む。

モグラと名はつくものの地中にトンネルを作るわけではない。だがその脚は土を掘るのに適した作りをしており、丸太を開いたり、シロアリ塚などを崩したりしてアリやシロアリなどを食べる。獲物から隠れる際には穴を真下に掘り隠れるほか、冬には穴を掘って作った巣穴で冬眠する。そんなハリモグラたちだが、彼らは堅い地面を掘るときにどうやって呼吸するのだろうか?The Conversationではそんな素朴な疑問にカーティン大学環境・農業学科上級講師クリスティーン・クーパーが回答している。

 

土の中での呼吸の秘密

呼吸により二酸化炭素を出して酸素を取り入れることが重要なのは人間と同じく哺乳類であるハリモグラにとっても同じこと。だが地下に掘り進めていって自分の出した二酸化炭素ばかりで酸素が足りなくなったりしないのだろうか?

ハリモグラは筋肉質の隔膜と肋骨の間の筋肉を用いて呼吸する。これらの筋肉の動きは土や葉っぱに少し埋もれた状態でも呼吸するのに十分な力を持っている。掘り進める際にはハリモグラの体の周りの土壌が緩くなるように掘る。こうすれば呼吸のための胸の上下運動が土により妨げられないのだ。より地中深くへと潜る際には、ハリモグラは移動と呼吸のために壁と天井を持った空間を造り上げる。

だが、呼吸のために動けるスペースはあっても、穴を掘って行くことで酸素が足りなくはならないだろうか?クーパーによれば、「ほとんどの人々が思うよりも」土壌は酸素や二酸化炭素などのガスを通しやすく、濡れた土壌に掘り進まない限りは新鮮な空気を呼吸できるという。ハリモグラは埋まってしまったときには体の前半を動かしてガスを土壌から流しだす行動をとる。これは分厚い土壌に埋もれたときや、強く掘り進め酸素を多く必要とする際などにより顕著だという。

またハリモグラは多くの穴を掘る動物と同じく非常に低い体温と低い新陳代謝率を持っているため、同じ大きさの他の哺乳類と比べて必要とする酸素も少なく、排出する二酸化炭素も少ないのだ。また、ハリモグラの血は酸素の取り込みと運搬機能が高い。低酸素環境では大抵の哺乳類はエネルギー消費を抑えるが、ハリモグラはエネルギー消費はそのままに呼吸量を多くする。

このような特性により、ハリモグラは地面の中でも酸欠することなく活動できるというわけだ。住んでいる地域も限定されていることから、ハリネズミよりも知名度が低いハリモグラだが、卵を産む哺乳類であること、土の中での呼吸の秘密など、興味深い生き物だ。これを機会にもっとハリモグラについて調べてみても面白いかもしれない。