六分儀が宇宙の旅を救うかも…もしもの時のナビゲーション手段をISSでテスト

なんだか学校の教科書でちらっと見覚えのある名前「六分儀」。数百年前から海の航路で役立ってきたこの道具が、最新の実験機器と共にISSに向かって飛び立った。この超アナログな道具はもしもの時に宇宙でナビゲーション手段として役立つのだ。

 

最新機器に混じって…

日本時間5月21日、オービタルATK社のアンタレス230ロケットで打ち上げられたシグナス(Cygnus)補給宇宙船。その中には約3357kgもの研究道具、積み荷、補給品などが含まれていた。
その中には、微生物を増やすことなく特定し、微重力のDNA、植物、微生物への影響を調べるための「微生物特定装置」(BEST)や、宇宙空間の10億分の1の低温をつくりだすことで原始の動きをレーザーと磁力でほぼ止めた状態をつくり観察するための「極低温原子観測装置」(CAL)に混ざって「六分儀」も入っている。

 

六分儀

Credit: Creative Commons

六分儀は何世紀もの昔から2点間の角度を測定するために使われてきた。古来使われていた物は巨大なものだが、六分儀は次第に小型化され、陸地の見えない場所での船舶航行の際に星と水平線の角度から現在置を導き出す天測航法などに今も用いられる。

今回搭載されるのもそのような六分儀で、地球から離れて深宇宙への旅に行く際に、もしもメインコンピューターが使えなくなり、ミッションコントロールとも連絡が取れなくなるという状況で使うことが想定されている。ローテクなアナログ道具ではあるが、電子機器が使えない緊急時に、役に立つというわけだ。

また、カメラなどを使用した光学機器よりも、ダイナミックレンジも分解能も高いクルーの「人の目」と共に用いるという利点を持っているほか、シンプルで頑丈。バックアップのナビゲーションシステムとして最適なのだ。

 

意外と長い六分儀の宇宙での歴史

なお六分儀が宇宙へ行くのはこれが初めてではなく、NASAによれば1965、66年のジェミニ計画でも宇宙へ行き、アポロ計画でもナビゲーションバックアップ用に機体に装備されてデモンストレーションが行われている。70年代の宇宙ステーション「スカイラブ計画」でも六分儀を用いた追加実験が行われている。

今回積まれる六分儀は、2021年に月を超えて7万kmの先へ有人飛行を行う予定の「Orion Exploration Mission 2」での緊急用ナビゲーション手段としてのテストが行われる予定となっている。

シグナス補給宇宙船で飛び立った物資は、5月24日頃ISSに到着予定となっている。