地殻から鉄を奪ったのは宝石のガーネットかもしれない

地球の地殻から鉄を盗んだ泥棒は誰だ?これまで磁鉄鉱がその犯人だと思われていた。しかし新たな研究から、真犯人は宝石としておなじみのガーネットである可能性が浮かび上がってきた。

 

磁鉄鉱「えん罪です!」

Credit: Archaeodontosaurus, CC 表示-継承 3.0

地球の大陸の岩に含まれる鉄は、海底の岩に含まれる鉄よりも少ない。これまでその理由は、火山に関連して地下深くから磁鉄鉱(じてっこう、マグネタイト)がマグマから鉄を吸収しているからだと考えていた。

この鉄の減少は、地殻が分厚い大陸火山弧の部分で多く、地殻が薄くなっている島火山弧では少ない。もしも磁鉄鉱が鉄を吸い上げているとしたら、鉄の減少が大きく見られる大陸の地殻でより多くの磁鉄鉱が見つかるはずだ。しかし、地殻の分厚さと磁鉄鉱の量には相関性が見いだされなかった。

 

新たな容疑者、柘榴石

しかし、磁鉄鉱と違い地殻の厚さと相関性が見いだされたものがあった。それが柘榴石(ざくろいし、ガーネット)である。柘榴石の中でも鉄礬柘榴石(てつばんざくろいし、アルマンディン)は火山高圧高温の状況下で作られやすく、海洋地殻が大陸地殻の下に滑り込んでゆく大陸火山弧はまさにそのような状況なのだ。

アメリカのライス大学の研究者たちは、この仮説を確かめようと試みた。とは言えその様子を確かめに活火山の下数kmのドロドロに溶けたマグマの中に飛び込んで確かめるわけにも行かない。これが確認できるのは、捕獲岩(ゼノリス)からだ。捕獲岩は火山からでてくるものの、出てくる火山よりも更に古い存在で、マグマが上へと押し上がる過程で地下60~80kmから取り込まれたもの。地上にはマグマと共に出てくるが、捕獲岩を見つけるのは難しい。だが見つかれば大陸火山弧深部を直接垣間見ることができる重要な存在だ。

 

果たして真犯人は…

Credit: Wilson44691, Public Domain

研究者らはアリゾナ州で数百万年前に火山から出てきた捕獲岩を見つけることに成功。この捕獲岩を分析すると、この岩は大陸火山弧よりも下で作られ、柘榴石が豊富であることが判明したのだ。

その後研究者らは世界中で集められた火山岩や捕獲岩をマックス・プランク研究所のGEOROC(海洋および大陸の岩石の地球化学、の頭文字)データベースを分析。その結果、柘榴石を多く含むマグマはより鉄が減少しているという彼らの説が裏付けられた。

ただし、これで鉄泥棒が柘榴石として確定したわけではなく、研究者たちは更なる調査が必要だとしている。