銀河を切り裂く謎の黒い傷口…その正体は渦巻き銀河のガスとチリ

一億光年の彼方に美しく輝く渦巻銀河。そこに入った漆黒のガスは、まるで宇宙を引き裂く鋭く刃で切られた傷口のようだ。

 

NGC 1032

写真はNASAとESAによるハッブル宇宙望遠鏡でとられた写真だ。写真に写る輝く銀河は、くじら座にあるNGC 1032渦巻銀河。

くじら座には他にもM77ことNGC 1068という渦巻き銀河がある。しかし、地球から大きく渦を巻く様子が見えるM77と違い、NGC 1032のほうは地球からは渦を真横から見る角度となってしまう。そのため実際の渦は見えずにこのようにみえるのだ。

この渦巻き銀河を切り裂くように存在する黒い影は、この銀河の持つ巨大なディスク状のチリやガスだ。これと似たような光景は渦巻き銀河以外でも確認でき、例えば同じように地球から真横が見えるりゅう座のレンズ状銀河NGC 5866などでも光を切り裂くガスやチリが見受けられる。

 

渦巻き銀河

Credit: NASA, ESA, and the Hubble Heritage (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration

こちらは地球から3200万光年離れた魚座の渦巻き銀河、M74ことNGC 628。この方向からだと、渦巻き銀河がその名の通り渦を巻いているのがよくわかる。渦巻き銀河には、水素やヘリウムよりも重い元素を多く含んだ「種族I」の若い恒星や星間物質が多い。

このような美しい渦巻き銀河が横からしか楽しめないNGC 1032はなんだかもったいない気もするが、この横顔から表の顔を想像するのも乙な楽しみかもしれない。