Credit : NASA/SDO/AIA/GSFC

別宇宙には宇宙人がいる可能性…研究者がマルチバースをシミュレーション

マルチバース、それは現在我々が存在している宇宙以外にも別の宇宙が存在するという説だ。これまで、ダークエネルギーの量が我々の宇宙とは違う他の宇宙は生命の生存には適していないだろうと思われていた。しかし最新のシミュレーションによる研究ではどうやらそうでも無さそうだという結果が出ている。

 

ダークエネルギーとマルチバース

ダークエネルギーは宇宙を加速膨張させる謎の力の正体であるとされるもの。現在考えられている宇宙の始まりの理論に基づくと、この宇宙には現在観測されているよりもっと多くのダークエネルギーがあるはずだと考えられている。

しかし、もしも我々の存在する宇宙にダークエネルギーが多ければ、銀河が形作られるよりも早く宇宙が膨張してしまうし、少なすぎれば全ての銀河が増加する重力で崩壊してしまうと考えられるのだ。つまり、我々の暮らす宇宙のように、銀河が生まれてそこに生命が生じるためには、ダークエネルギーの量がちょうど良くてはならない。ダークエネルギー量が適切であれば、結果として生命が存在する環境が整う可能性がある、ということだ。

そこで、我々の住む宇宙の他にも複数の宇宙が存在するという「マルチバース」のアイデアが出てくる。他にも宇宙が存在し、この宇宙でダークエネルギーが少ない分、他の宇宙では多かったり、逆にもっと少なかったりするのでは、というわけだ。宇宙に存在するダークエネルギーの量は「宝くじのようなもの」であり、幸いにも我々の宇宙には適量あるが、そういった別の宇宙では多すぎたり少なすぎたりして生命が誕生するような環境、つまり銀河の星々も生まれないのではないか、と考えられていた。

 

シミュレーション結果

Credit: Creative Commons

オーストラリア、オランダ、イギリスの研究者たちは「EAGLE」(Evolution and Assembly of GaLaxies and their Environments、銀河とその環境の進化と成り立ち)というシミュレーションプログラムを用いて、様々な仮定宇宙の誕生と死のシミュレーションを行った。それぞれのシミュレーションではその宇宙に存在するダークエネルギーの量を、全くない状態から、我々の住む宇宙に存在する量の数百倍までの間で変更して行っている。アメリカ科学振興協会AAASによれば、この結果はMonthly Notices of the Royal Astronomical Societyにて二つの論文として発表されるという。

そうすると、我々の宇宙よりも300倍ダークエネルギーがある宇宙であったとしても、恒星の誕生にはほとんど影響はなく、そのためその宇宙での生命誕生もあり得るというシミュレーション結果が出た。またその逆に、ダークエネルギーが非常に少なくとも恒星や惑星の誕生への影響はほぼ無いことが判明した。

この結果から判るのは、もしダークエネルギーの量が違う別宇宙が存在する場合、そこにも生命が存在する環境がある可能性があると言うこと。そして、我々はダークエネルギーについてまだまだ何も知らないと言うことだ。マルチバース説でこの宇宙のダークエネルギーの観測量の少なさを説明するのは難しくなった。もちろんだからといってマルチバース説が否定されるわけではないし、マルチバースはインフレーション宇宙論、ブレーン宇宙モデルなど、様々な説でもその存在が仮定されているものだ。だがこの宇宙のダークエネルギーの量を説明するには、我々が今まで知るものとはまた別の新たな物理法則が必要なようである。

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