Credit : Australian Red Cross Blood Service via Facebook

特殊な血液で200万人の赤ちゃんを救ったスーパーヒーロー、引退へ

特別な血により、新生児にとって命取りとなる「Rh式血液型不適合妊娠」から240万人以上の赤ちゃんの命を救ったオーストラリアの男性が、今月の献血を最後に引退することとなった。

 

特別な血を持ったヒーロー

男の名はジェームズ・ハリソン(James Harrison、写真)。オーストラリア赤十字血液サービスによれば、現在81歳の彼はこれまですでに60年間に渡り1100回以上も血を寄付し、240万人以上の赤ちゃんの命を救った。

どうやって赤ちゃんの命を救ったのか?それは献血だ。

 

Rh式血液型不適合妊娠

血液型の「Rh+」、「Rh-」というのを聞いたことがある方もおられるだろう。もしもRh-の女性がRh+の赤ちゃんを妊娠する場合「Rh式血液型不適合妊娠」となる。

こうなれば、赤ちゃんの赤血球が母親の血液に入ると、母親の体はこれを「異物」と認識して「抗D抗体」という抗体をつくる。そうするとこの抗体が胎盤を渡って、赤ちゃんの赤血球を攻撃し、生後黄疸を起こしたり、新生児溶血性疾患になったりする可能性がある。米マイアミ州、ニクラス子供病院胎児ケアセンター長であるサイマ・アフタブ医師がLiveScienceに語るところによれば、これは先進国での新生児の疾患と死因要因のトップだという。

これに対処するには「抗D人免疫グロブリン製剤」を妊娠中や産後の適切な時期に母体に注射する必要がある。こうすることで母体内の赤ちゃんの赤血球が製剤とくっつき、抗体が作られないようになるのだ。

そして、皆さんご想像通り、この抗D人免疫グロブリン製剤を作るのに重要なのが、特殊な血だ。ハリソンを含む一部の人の血漿には特別な抗体が含まれており、そこから抗D人免疫グロブリン製剤がつくられる。

 

献血ヒーローの引退

Credit: Creative Commons

しかしこのような特殊な血を持つ人はそう多くなく、オーストラリアでは全献血者のうち200人しかいないという。そのため、ハリソンのように特殊な血を持っていて何度も献血してくれる人は貴重な存在だ。

ハリソンはオーストラリア赤十字血液サービスと抗D人免疫グロブリン製剤により赤ちゃんを救うための「アンチDプログラム」への貢献により1999年にオーストラリア勲章メダル・オブ・ザ・オーダー・オブ・オーストラリアを受賞している。

しかし81歳を迎えたハリソンはオーストラリアの献血可能年齢制限に達したため今年5月11日の献血を最後に献血を止めざるを得なくなった。

ハリソンのような特殊な血液を持っていなくても、他人を救う事のできる献血。まだしたことがないひとも、一度挑戦してみると良いかもしれない。もしかしたら自分でも知らないスーパーパワーが眠っているかもしれないぞ。

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