Credit : NOAA FishWatch

魚の耳はタイムカプセル…過去の環境を知り未来を守る鍵に

魚の持つ耳石という骨から、大昔の川の状況を知ることができる。そんなタイムカプセルのような魚の耳石と、現代の環境保護にもつながるその重要性について、考古学者でサザンクロス大学の招聘研究員、モーガン・ディスペイン(Morgan Disspain)がThe Conversationに寄稿している。

 

魚の耳

「耳石」は堅い炭酸カルシウムで、バランスをとったり音を聞くのに関連した器官で、全ての硬骨魚綱の魚はこれを脳の後ろに持っている。だがその形や大きさはは魚の種類により異なる。また、この耳石は木の年輪のように、その生長により成長輪ができる。そのため耳石からは魚の種類、大きさ、年齢、成長率、死亡時期が判る。

耳石の酸素の同位体を分析することでは魚が生きていた時代の水温を知ることができる他、バリウムその他の微量元素からは水の塩分濃度を知ることができるのだ。

 

耳石から判明する昔の環境

オーストラリアの川は、ヨーロッパからの入植者がやってきてから大きく様変わりした。しかしそんなオーストラリアの川々も、その周辺で生活していた原住民アボリジニの野営地に残された魚の耳石を調べることで、大昔の、そして入植者が入ってくる以前の川の環境を知ることが可能だ。

ディスペインと研究者たちは、約6400年前のマレー川下流の野営地や、約2900年前のクーロン地域の野営地などに残された耳石を調査した。すると現在は主に淡水である両川は、以前は塩分濃度がより流動的であったことが判明した。これが今の淡水になったのは入植者たちが川にダムや堰を作ったことによるもののようだ。

また、魚そのもののデータも、年齢、大きさ、量、などの変化が分析された。それによれば、オーストラリア最大の原住淡水魚で現在は絶滅危惧種となっているマーレーコッドは5000年前には220cmもの大きさのものがアボリジニーたちによってマレー川下流で捕られていたことが判明した。マーレーコッドは現在知られているものは大きいものでも180cmほど、100kgまで、48年も生きるという。しかし1800年代の乱獲や環境の変化によりその数は激減した。

 

考古学と環境保護

Credit: State Library of South Australia 125A/12

ディスペインは、幾ら環境保護に力を入れようとしても、人により環境にもたらされた変化が起こる前の状況を知ることができなければ、難しいということを示している。魚の耳石のような、時の流れに耐えて太古の様子を記録しているタイムカプセル、そしてそれを読み解く考古学は、今後の環境保護にも重要な役割を担うことだろう。

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