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真実はどこにある…英X-ファイル課のUFO調査が中止となった理由、機密文書公開で判明

UFOや超常現象をテーマにしたアメリカのテレビドラマが流行った90年代、イギリスの国防省には実際に「X-ファイル課」こと「DI55」部門が存在した。これまで機密扱いだった2500ページを超える書類から、DI55とその他の国防省部署やりとりなどが判明した。

 

コンディン報告書

これはイギリス、シェフィールド・ハラム大学のジャーナリズム研究員デイヴィッド・クラーク博士による情報開示要請により明らかになったもの。彼はイギリス国防省、国防情報参謀部が1997年から2000年までにUGOを調査した機密文章「コンディン報告書」(Condign report)の機密解除のために働いた人物でもある。

2000年に完成したこの400ページに渡るコンディン報告書のなかでは、UFOの存在は「議論の余地がない」としながらも、敵対的であったり、それが操作操縦されているとする証拠もないとして、宇宙人の乗り物ではなく、人工物や自然現象の見間違いだと結論づけている。

 

イギリスのX-ファイル課

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イギリス国防省、国防情報参謀部の科学技術諜報局DSTIには、1967年から2000年末まで秘密裏にUFO目撃情報データを集める「DI55」部門が存在した。今回公開された文章の中でDI55のトップは、国防省からコンディン報告書作成委託を受けた人物とのやりとりの中で、報告書は「イギリスへの(敵意ある外からの力からの)脅威の可能性と、技術の入手」にのみ注力し、「エイリアンによる誘拐のようなX-ファイル的な活動」はしないようにとの指示が書かれていたとクラーク博士はしている。イギリス国防省は特に「技術の入手」に興味を示したようで、特に「推進、ステルス、新たな電磁気技術」などに関心があったようだ。

この委託を受けた人物が誰であるかは情報保護法の下で守られているため開示されていないが、クラーク博士によれば、これは引退したイギリス王立空軍であり、冷戦中には極秘ミッションなどでも飛行経歴のある諜報員であるとしている。この人物は電子線の専門家で1980年代にはペンタゴンの「スターウォーズ計画」にも関わったとされる。今回公開された文章中のメモにも、50年代に彼自身も王立空軍の飛行時に「大気現象」を目撃したと記されている。

 

DI55とUFOデスク

一般的に未確認飛行物体は「UFO」と略されるが、イギリス国防省は未確認大気現象(unidentified aerial phenomena)「UAP」という略称を使っている。イギリス国防省はこれが他国の乗り物であれ、地球外のものであれ、はたまたプラズマ現象であれ、それがイギリスへの脅威ではなく、さらに自国が活用できるものであれば満足だったのであろう。そして、その確固たる証拠を提示することができればDI55は未だにUFO調査を行っていたのかもしれない。

1997年の書類では、DI55の空軍中佐はUAPを冷戦時代にイギリスの空域にソ連機が幾度となく侵入したことを重ね「彼らは一度も敵対的な意図を見せなかったが確実に脅威の象徴であった」としている。しかし、それでもコンディン報告書の完成した2000年に、DI55はUFO調査中止の命令を下されるに至った。

DI55と同時期に、これとは別にイギリス国防省には「UFOデスク」として知られる「Secretariat (Air Staff) 2」支部が存在した。こちらは公に存在していたもので、電話ホットラインなどにより目撃情報を収集すると同時に集まったUFO目撃情報のコピーをDI55に送っていたのだ。2000年には、当時の国防情報参謀部トップがUFOデスクに対し、たとえそれが警察や航空管制などの「信頼できる」情報元からの報告であってもDI55へ送るのを止めるよう指示している。なおUFOデスクの方は2009年に国防情報参謀部の命により閉鎖されている。

 

DI55閉鎖の提案

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しかし今回解禁された書類では、コンディン報告書が完成する2000年よりも以前からDI55のUFO監視を中止する声が「提案」されていたことが明らかになった。1998年のレポートでは、DI55がUFO報告を監視を続けるべきではないとして、その理由を「もし将来これが判明したら大きな恥だ」と書かれているほか、「確実に国防情報参謀に役立つ情報を提供していないため、DI55によるUAP報告監視はこれ以上続けるべきではない」と記された提案書も見つかった。どうやら「イギリスのX-ファイル課」の運命はコンディン報告書の前にすでに決定されたも同然だったようだ。

クラーク博士は、未だ秘密裏にイギリス軍や委託された外部機関によりUAPに関連した調査が続いている可能性を示唆している。

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